エリザベス・マルマ・ムレマ生物多様性条約事務局長との打合せ

打合せの主旨

2022年6月23日の朝、日本から参加しているNGOとユースメンバー4名でムレマ氏と打合せを行いました。今回の議題は、ムレマ氏が共同議長を務めるTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosure:自然関連財務情報開示タスクフォース)に関する意見交換を行いました。

TNFDはビジネスセクターが情報開示を行う際の枠組を示すもので、現在素案としてβ0.1版が公開されています。TNFDはその継続的な更新のため、日本を含めて幾つかの地域にコンサルテーションのためのグループを設立しています。日本ではMS&ADを事務局として「TNFD日本協議会」が立ち上がりました。道家さんが勤める「公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J)」と、私が所属する「NPO法人アースデイ・エブリデイ」は、いずれもそのメンバーです。2022年6月16日に行われた第一回会合では、TNFDエグゼクティブ・ディレクターのトニー・ゴールドナー氏から、今後のスケジュールや改訂概要と質疑応答が行われました。

道家さんと私は、TNFD日本協議会第一回会合に現場で参加してきましたが、NGOの立場で色々と思うところがありました。そこで、今回TNFD共同議長であるムレマ氏と直接意見交換するため、道家さんが打合せを設定し、私とユース2名が同席する形で一緒に参加したものです。

意見交換の概要

まず、道家さんが、TNFDβ0.1版が重視すべきこととして、NACS-Jからの4つの提案を説明しました。その後、道家さんと私から幾つか質問をさせていただき、その回答を踏まえて議論をしました。その一つとして、今後TNFDが開始するパイロットテストにNGOがどのような形で参画できるのか質問したところ、ムレマ氏からは「(自然の)現場を知っているNGOにもぜひ参加して欲しい。パイロットテストに参加するのに費用はかからない。」という回答をいただきました。私はパイロットテストの対象は企業だけだと思い込んでいたので、少し驚きました。

また、ムレマ氏からは、日本でのTNFDの取り組みについて、「日本は環境省と金融庁がTNFDフォーラムに参加しており、日本でも政府主導で検討会を作って推進していると聞いており、大変心強い。日本はG20の次の議長国でもあり、その牽引に期待している。」というコメントをいただきました。

TNFDについて活発に意見交換

TNFDについて活発に意見交換

最後に参加したメンバーでムレマ氏を囲んで写真を撮らせていただきました。

ムレマ氏と打合せ参加メンバー

ムレマ氏と打合せ参加メンバー

今後に向けて

2022年6月28日にはTNFDβ0.2版が公開され、7月6日にはパイロットテストに関するフォーラムメンバー向けのウェビナーが開催される予定です。

TNFDについては、ジュネーブ会合の際にもCBDアライアンスの一員としてムレマ氏と打合せをしており、ブログでもご紹介しました(「エリザベス・マルマ・ムレマ生物多様性条約事務局長のもう一つの顔」)。その後、CBDアライアンスを含めた海外NGOにおいてもTNFDへの提言の検討が進んでいます。

引き続きTNFDβ版について、NGOとしての提言を行うと共に、パイロットテストにも参加していきたいと思います。

宮本育昌
(NPO法人アースデイ・エブリデイ)