CBD-COP15の開会

2022年12月7日10時より、新型コロナで延期が続いた生物多様性条約COP15が開幕しました。

正式な開幕は12月7日ですが、開幕セレモニーは12月6日の午後に開かれました。

開幕セレモニーには、トルドー首相やアントニオ・グテレス国連事務総長、黄潤秋(Huang Runqiu)中国環境大臣、そのほか、ケベック州知事、モントリオール・昆明市両市町が参加し、COP15の重要性を強調されました。

トルドー首相は、先住民地域共同体の尊重と参加、30by30への公約の他、約350億円の追加的途上国支援の公約を打ち出しました。

アントニオグテレス事務総長は、より人類とはどうあるべきかという大きな視点から、このCOP15の重要性を訴えたのが印象的です。グテレス事務総長のスピーチは、こちらから、全文が見られます。不調和から調和へ、言い訳も遅れも許されないと強い口調でこの会議で成果を出すことの重要性を強調されました。

Photo by IISD/ENB

Photo by IISD/ENB

7日に本格スタートとなったCOP15開会では、エリザベスムレマ事務局長、インガーアンダーセン事務局長のスピーチや、各地域代表、先住民地域共同体、生物多様性関連条約共同声明、ユース、NGO、女性からの発言がありました。ロシアによるウクライナへの侵攻を非難する声も上がり、ロシアが反論するなどのやりとりもありました。

多くのスピーチで、GBF採択の重要性と、これまでの交渉の速度よりももっと速やかに合意に向けての話し合いが重要と強調するものが多かったように思います。

7日の本会議(プレナリー)では、開会挨拶の他に、運営委員(ビューロ)やSBSTTA議長の選出などの手続きの説明、過去の会合の報告、議題の採択と、2つの作業部会(Working Group)での進行など、会議に必要な事項が確認されました。なお、条約本体の本会議と共に、2つの議定書の本会議も同時あるいは切り替えながら行われています(議定書は締約国がまた異なるので、手続き的には、別途本会議をもって物事を決する必要がある)。

午後の第1作業部会(主に、ポスト2020枠組み関連の決定起草が任務)では、15の議題の進め方を確認しました。過去の交渉会議(SBSTTA23,24、SBI3、ポスト2020WG)から提案された議題の内、ブラケットがほんの少し残っているような文章は、少数の非公式協議で解決して会議文書(Conference Room Paper:CRP)を作成し、意見が割れている議題は、議長の友会合(Friends of Chair)やコンタクトグループ(Contact Group)を設立して協議するという進行です。

リストでまとめると下記の通りです。

ワーキンググループ1

インフォーマル協議の上CRP作成:GBF解説、前戦略計画の実施、コミュニケーション、ジェンダーアクションプラン、8(J)、自治体行動計画
コンタクトグループ:DSI、資源動員、資金メカニズム、能力養成・技術移転、知識管理、立案・モニタリング・報告・レビュー、主流化
議長の友会合(FOC):指標

ワーキンググループ2

*カルタヘナ議定書はCP、名古屋議定書はNPと略します。両議定書会合議題は、ほぼWG2で扱います。

CRP作成:CP/NP モニタリングと報告、CP/NPクリアリングハウスメカニズム、CP遺伝子組み換え生物の予測と特定、CP名古屋クアラルンプール補足議定書、NP能力養成とコミュニケーション

コンタクトグループ:CP遺伝子組み換え生物のリスクアセスメントと合成生物学、CP能力養成、海洋沿岸生物多様性(持続可能な利用も扱う予定)

多くの小規模な会合が設立されることに、政府団の人数が確保できていない国からは懸念の声が出ました。今後かなり複雑なスケジュールの展開が予想されます。

非常に広大なプレナリールーム

非常に広大なプレナリールーム

夜からは早速コンタクトグループが三つ(資源動員、カルタヘナ議定書関連リスク評価、GBFを受けた戦略立案、報告、評価の仕組み)設けられ、深夜まで話し合いが続きました。

国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平(日本自然保護協会)