COP11の中間報告

開会レセプションは、インドの踊りで始まる

さて、今日の午後には、本会議(プレネナリー)が行われます。良い機会なので、ここでおさらいをしておこうと思います。

会議の進行は、概ね順調に見えます。COP10の成果が非常に大きく、あのときなされた合意(コンセンサス)が全員に共有されているので、それをどのように実現に結びつけていくかに集中できるという雰囲気があります。何も共有するものがなかったらと思うと本当に大変。CRP文書やたたき台(non-paper)も続々と作られ、これからは、ある意味各国からの一方的な意見表明から、一つ一つのパラグラフを検討していく交渉の段階に入ります。COP10の時に乱立したコンタクトグループも、伝統的知識に関する8(J)と資金動員戦略しかできていません。

最大課題の資金動員戦略は、11日夜のコンタクトグループでも意見表明を行っていて、やや進行の遅さを感じます。早く一つ一つのパラグラフを扱っていった方が良いような。

愛知目標の何に取り組むかをまとめたポスター

決議のたたき台(non-paper)は、前文、報告枠組み、ベースライン、目標、戦略の見直し、ハイレベルパネル、実現するための状況(改善)、革新的資金メカニズム、事務局へのメッセージという章立てに分かれています。重複するものが多い状況ですが59パラグラフあります(金曜午前に再度し示されたたたき台の改定版は42までまとめられました)。

資源動員の課題の一つ、目標値は、先進国から途上国への資金の流れを2012年から2020年まで、

①「毎年10%ずつ増やす」

②「毎年20%増やし、国内での予算を10%ずつ増やす」

③「2015年までに2倍にし、その後2015-2020の間毎年20%増やす」

の3つのオプションが現段階のものです。

革新的資金メカニズムは、グリーン投資、グリーン課税、生態系支払い、政府のグリーン調達、企業の取り組みを加速させるための法制度、などがあるようです。ただ言葉だけなので、定義も含め、議論すべきとこが多いと思いました。

目を転じてサイドイベントやフォーラム部分に移りますと、こちらも活気を帯びています。インドの事例紹介などをするサイドイベントの開催場所が本会議場(HICC)のとなりの国際展示場(HITEXと呼ばれる)になっており、なかなか参加できませんが、地元インドの取り組みや課題を発信しています。インドのNGOや先住民グループの方もたくさん来ており、伝統的な衣装を着ているため、目にも鮮やかです。

FSCなどの生物多様性認証の標準化に関するサイドイベント

サイドイベントの中身は色々ですが、私が参加するものはどれもこれも「愛知ターゲット達成のためにやっている活動です」と紹介され、愛知ターゲットのここでの認知度は非常に高いと思います。と、こう書くのはすべてのCOPに参加したジェフ氏に聞いたところ、「2010年目標」を決めたCOP6の後のCOP7では、参加者がほとんど2010年目標を理解していなかったそうなのです。IUCN欧州オフィスの方もその現状に危機感をいだいて「countdonw 2010」というキャンペーンを始めたのでした。

どうやらハイデラバードではこれほど大きな国際会議は開かれたことがないそうで、又聞きですが、トレーニング・レクチャーをうけた2000人近いボランティアが、参加者のサポートをしているそうです。きょろきょろしていると、お困りですかと声を変えてくれることもしばしば。

会議が入るかもしれませんが、土日をはさみ、月曜から本格的な交渉が始まります。

(財)日本自然保護協会 道家哲平