COP12終了!その評価は、、、

決議案の採択毎に拍手

194カ国、生物多様性に悪影響を及ぼす補助金廃止への力強い一歩を約束

[2014年10月17日 韓国 平昌]

韓国・平昌(ピョンチャン)にて開催されていた生物多様性条約第12回締約国会合(CBD-COP12)が、10月17日20時過ぎに閉幕が告げられました。2010年に愛知県名古屋市で開かれたCBD-COP10の成果である生物多様性戦略計画(2011−2020及び愛知ターゲット(以下、愛知ターゲット)の中間評価を行なった今回の会合は、
開幕日に発表された第4版地球規模生物多様性概況による現状の厳しい評価から始まりました。第2週目からは、愛知ターゲットと同じくCOP10で採択された「名古屋議定書」の第1回会合も始まり、目まぐるしいスケジュールの中、36の決議文書をまとめました。

参加者の割合

参加者は、総計3047名(以下の数字は、公式登録者リストによる)。加盟国1321名、非加盟国13名、UN機関177名、政府間機関154名、自治体602名、ユース39名、教育機関74名、ビジネス123名、IPLC43名、NGO429名、ICNP議長2名、オブザーバー70名(COP10、COP11の参加者についてはこちら)

この記事では、その成果について、終了間もない段階ですが、現段階の評価を個人的にまとめたいと思います。

私は、愛知ターゲットの中間評価とそれを受けてのピョンチャンロードマップの決定、名古屋議定書の第1回会合の実施というのがCOP12の成果と考えています。

<愛知ターゲット中間評価を受けての行動>

「進捗はあるけれど、不十分、そして、この努力を2倍にしていかなければならない。多くの取組みがあるが、現状の流れを変えるものになっていないことを認識しなければならない。しかし、2050年ビジョンは「まだ達成可能」である」これがGBO4の成果でした。

この厳しい評価をうけて、COP12で、194カ国はピョンチャンロードマップをまとめました。ロードマップには、日本政府を含めた194カ国は、GBO4の成果を活用し、緊急で効果的な行動を各国に強く求める決定、国内資源動員と生物多様性に悪影響を及ぼす補助金の廃止・改革に向けた手順・マイルストーンを含めた資源動員に関する決定、貧困撲滅と持続可能な開発に生物多様性が貢献することを認識し、貧困撲滅計画に生物多様性を組み込む指針も決定しました。愛知ターゲット達成に向けて、非公式助言機関を設立して、生物多様性関連条約に参加を要請し、多国間条約との連携による愛知ターゲット達成に向けたアクションも決定しています。

特に、生物多様性に悪影響を及ぼす補助金の廃止と国内資源動員は、実施されれば、愛知ターゲットの全目標の推進に貢献する大きな決定と言えます。日本がこのことを国際社会に約束したことは素晴らしいことだと思います。

<名古屋議定書会合のスタート>

名古屋議定書の第1回会合については、今後この議定書をどう運用するかという議定書の方向性を固めるもので、コンプライアンス(遵守)や、議定書に関する予算、クリアリングハウスメカニズムなどがまとまりました。印象的だったのは、会議において、party(締約国)とnon-party(非締約国)に発言の差をつける場面があったことです。これは当たり前の措置ですが、非締約国が今後この議定書、ひいては、遺伝資源のアクセスと利益配分の推進を確実にするためのルールに対して発言機会がこれから増々なくなっていくことを予感させるものです。日本のような科学技術と豊かな生物多様性を持っている国がこの議定書を批准しないというのは、将来、その国で活動する関連企業の海外での信頼を損うことにならないか、日本の生物資源が海外に移動された場合に国内法律の遵守を確保できるのかなど多くの危惧を感じました。

<日本政府の貢献>

この2週間を通じて、気候変動という難しい議題の中に、自然災害リスクの緩和という新しいテーマを導入することや、企業や自治体、NGOなどとの協働・参画を進める国連生物多様性の10年の推進に、日本政府は大きな役割を果たしました。国連生物多様性の10年の日という一日がけのイベントを初めて開催し大きな成功を収めたことを嬉しく思います。

COP10成果に対して、日本基金を通じて世界レベルの能力開発に貢献してきましたが、続けて、国内資源動員と生物多様性に悪影響を及ぼす補助金の廃止・改革を含めたピョンチャンロードマップの達成に向けた、緊急で効果的な活動の展開を期待します。

(公財)日本自然保護協会 道家哲平