WGRI 成果文書の紹介 多様な主体の参画
以下、いくつかのテーマで今回の会合の成果をまとめていきたいと思います(注目点などは、筆者による会議直後にまとめたもので、全文訳ではありません)。
なお、写真は、先週末川沿いを歩いていたら偶然発見した、エウレカフェスティバル(大発見!祭り ていう感じのタイトル)の一コマ。マギル大学やモントリオール大学等の学部がテントを出して親子向けにイベントをするものアイスバーで、どれだけ強い強度の橋を造れるかとか、翼のはねに空気をぶつけて持ち上げる揚力を知ってもらうブースなど色々。写真はもちろん生物学部のブース。は虫類の生活の不思議さや生態系の中の役割を説明していたと思います(フランス語なので不明)。子ども達も釘付け。
企業参画
COP12で採択するべき、締約国、企業、事務局長に対しそれぞれの提案・メッセージをまとめました。
締約国に奨励することとして
− 企業と生物多様性のグローバルプラットフォームと協力し、それを支援するための革新的メカニズム(具体的に議論されていません)を作ること
− 企業の生物多様性戦略(資源動員やキャパシティビルディング)の策定、実施を進めるためのパートナーシップの策定を模索すること
企業に奨励することとして
− 企業活動が生物多様性や生態系サービスに及ぼす影響を分析すること
− 企業による報告の枠組みに生物多様性を組み込むこと、企業活動において、生物多様性条約や愛知ターゲットのゴールに貢献する行動をとるよう確保すること
− 生物多様性や生態系サービスへの影響や利益について、シニアスタッフや、ラインやサプライチェーンに関わるスタッフの能力向上につなげること
− 調達政策の中に、生物多様性の配慮を組み込むこと
事務局に要請することとして
— 特に途上国において、生物多様性の配慮を組み込む取り組みに対する国への支援
— 愛知ターゲットの実施支援に企業への指針を開発し、2020年までのキーマイルストーンを特定し、企業と生物多様性グローバルパートナーシップが愛知ターゲット達成に資するようその役割を拡大すること
道家コメント:グローバルパートナーシップと戦略計画の関係強化が私にはポイントのように思います。GPの日本からのメンバーである民間参画パートナーシップも、企業の様々な活動と愛知ターゲットを結びつける事例調査をしているので、世界中でもそれをまねるようになるきっかけになると思います。
自治体の参画について
— 特に生物多様性地域戦略を通じて、自治体(Sub national and local government)と協同し、戦略的持続可能な都市発展に向けた条件整備や支援やガイドを締約国に奨励する
— 都市計画に生物多様性を組み込めるよう自治体の能力向上を支援し、グリーンインフラストラクチャーなど、都市計画、基盤整備に生物多様性の配慮を組み込むことを国に呼びかける
— 生物多様性を様々な計画に組み込むことで、戦略計画および愛知ターゲットの達成を自治体に奨励する。計画には、持続可能な都市化、地域交通、空間計画、水や廃棄物管理、自然を活用した解決策、生物多様性の状況のモニタリングや評価、その保全の推進など
— 条約事務局に対して、戦略計画・愛知ターゲットの実施に自治体の貢献をもっと組み入れていくために、締約国や自治体、パートナーを支援することを要請する。
文章をまとめました。
コメント:都市化(Urbanization)、持続可能な都市などの言葉が並んでいるのが過去に無かった傾向だと思います。自治体については、「どちらかというと」都市について注目が集まっているように思います。
ステークホルダーの参画について
− 愛知ターゲット達成のための課題や企画を特定するセッションや対話、条約や条約会議への多様な主体の参加やそのための仕組み、効果的で時機を捉えた参加の強化を歓迎する
− 政府に対して、生物多様性条約に関する協議や意思決定にユースを含む利害関係者の参加の強化をはかるための実践やメカニズムの推進を奨励する
など、あらゆるプロセスでの参加の強化を図っていくための取り組みなどについて決議案をまとめました。
ジェンダーメインストリーミング
ジェンダーメインストリーミングに関する戦略2015-2020を採択するほか、多国間条約で共通の指標でジェンダーのバランスの是正や参画の推進を図るため IUCN Environment and Gender Indexの活用なども決議案に入っています。この戦略は 政策、事務、他の条約の連携など多様な点でジェンダーに関する課題にとりくむもので、なかには、条約事務局にジェンダーに関する専門のスタッフを置くことも含まれています。
(公財)日本自然保護協会 道家哲平