生物多様性条約第15回科学技術助言補助機関会合報告(外来種)
外来種に関する決議案について
生物多様性条約外の国際条約やルール(具体的に言及されているのは、植物防疫に関するInternational Plant Protection Convention (IPPC)や、国際獣疫事務局the World Organisation for Animal Health (OIE)、WTO協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定。通称SPS協定)などです)との関係が課題です。そのためタイトルも、ペット、水生生物、陸生生物および生き餌や生鮮食料として持ち込まれる侵略的外来種に関する国際基準間のギャップに対処する手段と方法(Ways and means to address gaps in international standards regarding invasive alien species introduced as pets, aquarium and terrarium species, as live bait and live food)という表現になっています。専門家会合(AHTEG)も開かれておりこちらには日本とスペインが開催を支援しています。
5ページに及ぶ長い決議案です。以下概要を紹介します。
<全体事項>
外来種が多様なセクターにまたがる問題であることを理解し、COP6の決議である外来種のガイドラインの重要性を強調するとともに、各国においても、上記生物多様性条約以外の国際ルールの運用に際して外来種の課題に対処することを求めました。また、インターネット取引による外来種の導入が問題視され、条約事務局に対して、法律での監視方法や規制手法、外来種に関する全般的な普及啓発手法の情報収集を指示しました。
<国際条約・ルール間のギャップを埋めるための手段と方法>
植物防疫に関する条約(International Plant Protection Convention)に対して、コケ類や藻類まで植物防疫条約の対象を広げることや、菌類が植物防疫条約の対象となるかどうか明確にすることを奨励するなど、個別条約に対してメッセージを出す案で合意しました。
また、事務局に対して、遅くともCOP12までに、国際基準、指針、提言を設定している国際団体と協力して、既存の国際基準、指針、提言の国内適用に関する実務的なツールを開発するとともに、条約のウェブサイトで普及することを指示する文案をまとめました。そのツールには①どのように国際基準を適用するか、②リスク評価のツール、③侵略的外来種に関する国家戦略の効果を高め、国家政策に組込むための情報、④侵略的外来種の可能性のある種の特定手法や侵入経路の評価に関する情報など、ツールに含める事項なども検討されました。
<その他の活動>
外来種全般に関する普及啓発、教育手法をまとめる。外来種に関する決議の進捗状況の評価、外来種の共通の侵入経路(Pathway)のリスト作ることなどが合意されました。
報告 道家哲平 日本自然保護協会