【ユースレポート】ポスト2020枠組における世代間公平を考える専門家ミーティング
ポスト2020作業部会(OEWG)の開催前日である8月26日(月)の夜にGYBN(Global Youth Biodiversity Network:世界生物多様性ユースネットワーク)主催、EU共催の「Expert meeting on Intergenerational Equity in the post 2020 Global Biodiversity Framework(ポスト2020枠組における世代間公平を考える専門家ミーティング)」の報告会に参加しました。この発表会は、8月25日(日)に開催した専門家ミーティングとブレインストーミングの結果を報告するものでした。(8月25日にケニアに到着したため、専門家ミーティングには参加できませんでした)
「Intergenerational Equity(世代間公平, 以下、INTEQ)」とは、ユースに限らず、大人をはじめ、子どもなどのさらなる将来世代も含めた様々な年代を含むことが度々強調されていました。この考え方は、包括的なものであり、ジェンダー、民族性、年齢、教育、宗教等々について考える必要があるとされているそうです。GYBNがこの考え方を重要視する理由は、子どもも含んだ将来世代を生物多様性条約のプロセスに巻き込むが大事と考えるから です。それに加え、生物多様性に関する枠組を国際レベルだけではなく、国内レベルでも、政府だけのプログラムにせず、若者が参加できるようなると考えるからです。現在、 INTEQというコンセプトはCBDには公式に存在していないため、存在させるよう推進しています。
INTEQは①現世代が将来世代の資産や資源の権利を考慮する②現世代が資産管理をできないために将来世代が辛抱すべきではない③自然資源は残されるべきであるから、将来世代は清潔かつ健全な環境を受け継ぐことができる、という3つの目的を保持しているそうです。
生物多様性とINTEQの関係については、①生物多様性の損失を止める活動をいましないためにかかるコストをユースや将来世代が負担することになってしまう②生物多様性の保護に取り組んでいる方法には、今日の世代にとっても多くの意味がある、という2点が説明されました。
上記のような背景説明の後、「気候変動枠組条約」、「SDGs」、「IPLC(先住民地域共同体)」、「ジェンダー平等」、「人権」そして「国家レベルでのINTEQ」、という計6つの事例紹介(要約)がありました。
結論として、
・なぜポスト2020におけるINTEQなのか
-生物多様性危機の解決は、世代間の課題として考慮した場合のみ可能
-すべての世代間での協働モデルの開発を提案する
-世代間公平のようなコンセプトがポスト2020枠組に含まれるべきだと信じている
・INTEQがポスト2020を強化する方法
-長期的な見解の強化
-説明責任メカニズムの強化
-実施におけるステークホルダー参画の改良
という2つの視点からのGYBNの見解が述べられました。
フロアからの意見では、ドイツでは政府との対話が容易であるのに対し、他の国ではそうではない、とドイツからの参加者が述べていたことが印象的でした。また、中国の交渉官がユースはとても重要なチャンネルであり、ホスト国としてとても興味深いとユースに対するポジティブなコメントをしていました。
GYBNが本イベントの成果を、ポスト2020作業部会本体のステートメントの中で強調するだけでなく、ウガンダやボリビア等複数の国も意見表明の中で重要性についてコメントをしています。また、他のイベントにおいても北欧評議会がユースの参画を重要視し、INTEQについて言及していたため、今後、ポスト2020の議論における1つのキーワードになるのではないかと思います。
矢動丸琴子(生物多様性わかものネットワーク/IUCN-J事務局)