SBSTTA23~先住民と地域共同体がポスト2020枠組みに求めるポイントは

生物多様性条約の実践には、先住民族や地域共同体(IPLCs)の参加が不可欠です。SBSTTAやCOPでは、締約国や国際機関の発言後に、必ず先住民族と地域共同体の発言機会が担保されています。

先住民とは、2007年に採択された国連先住民の権利宣言(UNDIP)によれば、近代以降の植民地政策や同化政策によって、自らの社会や土地、固有の言葉や文化などを否定され、奪われてきた人びと、とされています。地域ごとに歴史や事情が違うので、先住民族であるための定義というのはないのですが、ILO169号では、自らの伝統的な土地や暮らしを引き継ぎ、社会の多数派とは異なる自分たちの社会や文化を次世代に伝えようとしている人びという整理もされています。

 

グンブリッド
北極圏(ノルウェー・フィンランド・ロシア等)先住民サーミのグンブリッドさん

(写真提供:Tom Dixon/FPP)

 

さて、SBSTTA23に先んじて11月17日~18日の2日間、ポスト2020枠組みにおける先住民族と地域共同体に関するテーマ別ワークショップが開催されました。そこでは、IPLCsの参加と重要性は、ポスト2020枠組み全体に適用される包括的な原則として実践されなくてはならないこと、と、伝統的な知識と慣習的な持続可能な利用(Customary Sustainable Use)に関連する1つ以上の特定のターゲットを持つこと、の二つの重要性が確認されました。愛知目標では、IPLCsについては目標18のみでしか言及されていませんが、本来は、生物多様性の実践に関連するすべての段階においてIPLCsも重要な当事者なのです。
また、このワークショップでは、今回開催されたSBSTTA23や第11回先住民地域共同体に関する作業部会(8条J項WG11)に加え、引き続き各地で開催されるポスト2020枠組みのテーマ別ワークショップや今後のポスト2020作業部会の交渉の中で、10のテーマについて先住民地域共同体としてそれぞれ求めたい内容を整理しました。テーマごとに、短く凝縮した主張をまとめています。SBSTTA23に参加するIPLCsの参加者にも共有し、一週間にわたる交渉において重要な指針となっています。交渉議題毎に関連するテーマについて、意見表明に組み込んだり、ロビー活動などの場で関係者に伝えるべきメッセージになっています。

以下の10点が、共通主張をまとめたテーマ一覧です。
1. 国際枠組み(INTERNATIONAL FRAMEWORKS / INTERFACE)
2. 国レベルのアクション(NATIONAL ACTIONS)
3. 保全(CONSERVATION)
4. 持続可能な利用(SUSTAINABLE USE)
5. 知識と文化(KNOWLEDGE AND CULTURE)
6. 先住民地域共同体およびその(伝統的)知識や慣習、実践を、ガイドラインや基準の適用を通じて、保護すること、および、8条(j)項に関連する規定のさらなる進展PROTECTION OF INDIGENOUS PEOPLES AND LOCAL COMMUNITIES AND THEIR (TRADITIONAL) KNOWLEDGE INNOVATIONS AND PRACTICES, INCLUDING THROUGH APPLICATION OF GUIDELINES AND STANDARDS, AND FURTHER ADVANCEMENT OF ARTICLE 8(J) AND RELATED PROVISIONS
7. 先住民地域共同体の完全で効果的な参加(FULL AND EFFECTIVE PARTICIPATION OF INDIGENOUS PEOPLES AND LOCAL COMMUNITIES)
8. アクセスと利益配分や資金提供や保障(ACCESS AND BENEFIT SHARING, FINANCING AND SAFEGUARDS ESTABLISH)
9. 条件整備(ENABLING CONDITIONS)
10. 指標(INDICATORS)

 

準備会合の様子
SBSTTA23の準備会合を行う先住民地域共同体の皆さん

(写真提供 IIFB)

国連生物多様性の10年市民ネットワーク 三石朱美