NGO準備会議のポイント

第2回ポスト2020作業部会が始まりました。前日に当たる日曜日は、NGOの準備会合が開かれ、1:ポスト2020枠国に関する意見交換、2:一週間の会議プロセスに関する意見交換、3:その他の情報交換を行いました。

ポスト2020枠組みについては
・意欲度が高いところと、そうでないパートが混在していて、レベルがあっていない。
・IPBESが重要とした指摘に応えきれてない要素があり、そのため、社会変革(Transformative Change)を達成しないのではないか
・ポスト2020枠組みで重要とする価値観や原則がない
・目標の書きぶりと、その表現が実際の活動でどういう意味を持つのか、それを測る指標(とされている案)が連測していない
・権利ベースアプローチ(先住民や地域共同体の権利を尊重したアプローチ)への配慮がまだ不十分
・企業セクターの取組が重要であるにもかかわらず、その記述(主流化というテーマ)や変革への道筋が不十分である。

また、NGOらしく“全く欠けているものは何か”という視点での意見出しもありました。
・公正や、世代間公平の考え方がないか弱い
・数値目標が設定されているが、そのもととなる数字(ベースライン)や、保護地域の良い管理などの質の要素がほとんど示されていない。
等の意見がありました。

もっと根本的には、ポスト2020枠組み(条約の決定)の法的拘束力が不十分であることなども話題になりました。

少しの時間ですが、関心課題に分かれて議論を深めることも行いました。

私は、「実施Implementation」についてのグループ議論に参加しました。ポスト2020枠組みの“目標部分”が設定されたとして、言葉だけの目標にならないよう、どうすれば社会の中でその目標が実現するかという仕組みについての議論です。実施についても、様々な協議の場が設定されており、どういう実施のメカニズムについて議論されているかを共有しました。

共有された検討されている実施のメカニズムは下記のようなものです。
・生物多様性国家戦略(とその強化方法)
・国別報告書(ナショナル・レポート)
・Global Stock Take(各国の国家戦略を足し合わせ、世界目標とのギャップを特定する仕組み)
・ボランタリー・ピアレビュー(各国の国家戦略を他国の担当官が見て、助言を交わす仕組み)
・ファイナンス(“主として既存の”資金メカニズム、特に、地球環境ファシリティー)
・資源動員(資金・人材・技術の増加。先進国から途上国への協力だけでなく、民間からの資金増も検討課題)
・自治体との連動
・ビジネスの役割
などが議論されているそうです。

共同議長との情報交換では、会合の進め方とともに、今回の会合でどこまで文書作りを進めるかという点について意見を聞きました。具体的には、ゴールとミッション、行動目標(Action Target)について議論をするが、総意まで求めない。1行1行ずつ、合意を確認して、ポスト2020の決定案を作るまではせず、合意の質を高め、様々な意見は、“ポスト2020作業部会の決定”の一部か、会議レポートでまとめるというアイディアが示されました。

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 NGOとの意見交換を行う共同議長

このような視点も参考にしながら、今週、会議の様子を紹介していこうと思います。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。