【サイド】IUCNらしさ
あっという間に会議も終了。会議終了時のIUCN会長からの挨拶では「Mental indigestion(精神的に消化不良)」という言葉が飛び出し、夜遅くまでの会議の盛りだくさんの充実した雰囲気を感じさせました。(私は連日の食べ過ぎのせいで肉体的にも消化不良です)
さて、今日は、私が会議に参加する中で感じた「IUCNらしさ」について触れたいと思います。最終日は、IUCN本体の意思決定プロセスなど、IUCNという連合体の仕組みについて主に話がされました。
例えば、4年に一度開かれるIUCNの世界自然保護会議(フォラームと会員総会)では、IUCNの今後4年間のプログラムや予算の話だけではなく、各会員が重要だと感じ、みなで共有すべきと感じる内容について「モーション」という形で文書を作成し、発議を行うことが出来ます。この「モーション」を会員が提出する際は、総会開催日の6か月前までは最低5会員、総会期間中は10会員の共同名で事務局長宛に提出することとなっています。従来までは、提出されたモーションの議決はすべて総会期間中(わずか10日間)で討議・議決の可否が決定されていましたが、今後は事前にオンラインで投票を行う議題(各地域の保全に関する内容で、修正等が整ったもの等)と、会議場で直接投票が行われる内容(世界規模課題や、会員全体に深く関わる内容等)に分けられ、会議の効率化が図られることが決まっています。(参考:前回の総会(2012年済州島)では、180以上のモーションが議決されました)
会員はこのモーションを通じて、“各会員として”大切だと思うことを、“IUCNとして”大切だと思うことに読み替えていくことが出来ます。
IUCNの正式名称は、「International Union for Conservation Nature-国際自然保護連合」で、自然保護に取り組む団体の「連合」です。あくまでも会員の集合体であり、会員が主体的になって活動することが必要不可欠です。会議中の発言として、「私達(事務局)は場所と時間を用意する。その中身をどうデザインしていくかは会員次第。」「IUCNは連合体(ユニオン)であるからして、最も大切なのは会員である」などが印象的でした。
IUCNとして決定されるプログラムの内容も、今後の方向性も、事務局が“IUCN”としてそれを背負うのではなく、あくまでも会員全員でそのプログラムを実行していくことが求められているユニークな団体だということが感じられた3日間でした。(公財 日本自然保護協会 佐藤真耶)