国家戦略の進展・生物多様性の主流化 SBI2初日
第2回条約の実施に関する補助機関会合(SBI2)が始まりました。
初日は、戦略計画の進捗レビュー(主に国家戦略のレビュー)と、ジェンダーアクションプランの議論と、エネルギー、鉱工業、製造業、健康分野における生物多様性の主流化の議論となりました。
戦略計画のレビューでは、国家戦略策定の動きを進んでいるものの、先週も話題になったIPBESによる厳しい評価(政府は取り組みが加速しているものの、生物多様性の劣化は止まっていない)を受け止め、残り2年ですが、実施の加速について強く求める内容を提案する国などが相次ぎました(日本は特に発言はしませんでしたが)。ジェンダーアクションプランについても、これまでと比べると、注目度が高く、その重要性を指摘する国が増えているように感じます。中国などは、目標達成に至らなかった理由をしっかり把握することが重要で、ポスト2020枠組みでは、これらの経験と取り組みを組み込んでプロセスが進むべきという指摘をしました。
ユースからは、ジェンダーアクションプランの重要性に鑑み、ジェンダーの視点を各国取り組むのを義務化してしてはどうかという強い提案を呼びかけました。
エネルギー、鉱工業、製造業、健康分野における生物多様性の主流化の議論では、議題として挙がっている各セクターにおいてどんな「主流化のための取り組みが必要か」という意見のほか、議題の中には、この主流化の議論を引き続き継続するかどうかという論点と、その主流化議論をサポートする組織としての専門家会合が必要か、必要ならどうあるべきか(特に、専門家のみの会合とするか、だれでも参加できる(Open-ended)方式とするか)などの論点で、様々な意見が交わされました。
先住民族地域共同体(IPLC)からは、各産業が、先住民のテリトリーを脅かしてきた歴史もあり、先住民地域共同体代表者の検討プロセスへの参加、自由意志による情報提供に基づく同意(FPIC)に基づく事業活動の徹底、第三者による評価の重要性などを提案しました。
愛知県・江原道(COP12開催地)などの自治体は共同声明を読み上げ、自治体との協働による主流化やCBDへの報告のメカニズムの自治体の参画などの重要性を提案し、各国から支持を受けました。
道家哲平(日本自然保護協会/IUCN-J事務局長)
*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。