日本ユースが代表として、「生物多様性の主流化」で発言(ユースレポート)
SBI2の初日にあたる7月9日に注目議題の1つである「生物多様性の主流化」に関する議論が行われ、そこでGlobal Youth Biodiversity Networkの代表として、ステートメントを読み上げました
COP12に、生物多様性の主流化が重要であるという認識が生まれ、COP13にて農林水産業や観光セクターを中心とした生物多様性の主流化に関する決定が生まれました。同時に、COP14にてエネルギー鉱業・インフラ・製造および加工業、および健康のセクターに関する主流化方策の検討を行うことが決定され、このSBI2で、COP14で決定すべき内容について検討が進んでいます。
生物多様性の主流化とは、生物多様性が損失してしまうことを抑えるために、生物多様性の保全と持続可能な利用を企業の業務(環境配慮の方針や、意思決定プロセスなど)や日常生活の様々な行動に組み込み、人々に生物多様性をより身近に捉え、行動してもらうようにすることを指します。
GYBN(ユース)のステートメント骨子
●エネルギー鉱業・インフラ・製造および加工、および健康の分野の主流化に取り組むことが大胆かつ緊急に必要なステップであると考えていること
●特に鉱業やエネルギー、インフラ、製造・加工の分野は多くの点で生物多様性の喪失につながるため、政治意思・立法体制・ビジネス慣行を根本的に変えるために公平な立場で業界との建設的な対話と協力関係を構築する努力が必要であること
●エネルギー分野では、原生地域・保護地域および先住民族の土地における石油とガスの探査と探鉱活動の継続的な拡大が生態系サービスの完全性に対する大きな脅威であること
●アマゾン川などの熱帯流域におけるダムの劇的な増加・バルカン諸国のマイクロ水力発電プロジェクトの劇的な増加などが懸念されており、このようなプロジェクトの開発が陸生生態系の保護に寄与してきた人々の権利を確実に認識すること
●リオ原則宣言の特に予防原則の重要性を主張し、主流化イニシアチブに取り組む際には、汚染者負担原則を当事者に喚起すること
●健康分野の主流化に関して、保全された生態系が人間の健康にとって重要であるという科学的証拠が明らかであることの強調
●生物多様性の主流化と非公式特別助言専門家グループの設立を歓迎すること
●エネルギー鉱業・インフラ・製造および加工業、および健康のセクターに関する議論には市民社会・地域住民および地域社会・女性・ユースとこれらのセクターによって特に影響を受ける他の利害関係者の専門家が含まれることの強調
ステートメントの大変さ
お気づきかと思いますが、これらは約500単語のとても長いステートメントになりました。ステートメントは、簡潔かつ要点を明確にしたものが基本であり、短ければ短いほど良いとされています。
しかし、これでもかなりの文章・内容を削っており、他にも多くのポイントを盛り込んでいたため、どこを削れるのか、ステートメントをする直前まで編集が続き、最終版が完成したのは本当に発言をする直前でした。
時間が押していたために議長が発言時間に厳しくなっていたこともあり、この非常に長いステートメントを最後まで読み切ることができるかどうかはやってみないとわからないというような状況でした。しかし、途中で止められてしまうとみんなで一生懸命書いた内容が無駄になってしまいます。そのため、絶対にすべて読み切るという気持ちでかなり早口で読み上げ、なんとか最後まで読み切ることができました。読み終わった際には会場内の方から大きな拍手をいただきました。
それだけこの「生物多様性の主流化」という議題は考慮することが多く、生物多様性条約の会議の中でも最も重要なものの1つであり、難しい議題となっています。私が提言したいと考えていた健康セクターに関する記述は分量の関係でかなり削られましたが(SBI2でのメインはエネルギーやインフラ)、暫定版の際には重要なポイントとしてGYBNが提言内に含めていてくれたことがとても嬉しかったです。
ステートメントをすることは決して簡単なことではなく、とても難しいことです。しかし、それにも関わらず、経験がない私にチャンスを与えてくれたGYBNのメンバーには本当に心から感謝しています。この貴重な経験を無駄にすることなく、今後も活動を続けていきたいと思います。
生物多様性わかものネットワーク 矢動丸琴子
(千葉大学大学院/園芸学研究科/環境健康学領域/博士後期1年)