5月8日 ポスト2020コンタクトグループ(継続3)

4回連続で設定されたポスト2020枠組み(議題3)のコンタクトグループが、2021年5月8日20時(日本時間)から行われました。Non-paperという本会議で出された意見をまとめて、SBSTTAおよびCOPの決定案として、5月22日の本会議(プレなリー)で検討する会議資料(CRP文書)を作成するという作業になります。

文書の最初段階での決定案は12段落あるのですが、2つしか進みませんでした。一つ一つの段落に様々な論点があり、非常にゆっくり進んだ感じもしますし、丁寧に合意を作り上げようとしているとも言えます。また、後半、発言が欧州と南米に集中していて、アジア・アフリカ・オセアニアの発言がほとんどありませんでした。4時間半、休憩もほとんどなく進行する共同議長役もものすごい体力です。共同議長協議後、設立が提案されいる指標に関する専門家グループについての協議が行われました。

本来4回のコンタクトグループで終わらせる検討は、終わらなかったこともあり、5月11日(日本時間は、5月12日午前1時から3時間)に追加のコンタクトグループが持たれることになりました。また、2時間程度協議2時間をかけたベースラインについては、目標の意欲度にも大きな影響をもたらすから、目標の議論ともパッケージで議論が必要だという意見もあり、小グループでの協議を行うことになりました。

論点としては、ベースラインの議論、指標の完成と見直しや改良のあり方になります。

ゴールや行動目標案に、「x%減らす/増やす」という表記があります。これが機能するには、いつかを100として、X%減らす・増やすということになります。この100にあたる、元の数字をベースライン(基準値や、基準年の値)と呼びます。

共通の基本的なベースラインの設定の妥当性、目標ごとにベースラインを設定するアプローチ、直近(2010〜2020)を100とする意見、自然の人為の改変がない産業化以前を100とする意見、目標の種類(ヘッドライン指標、要素指標、補完指標)ごとに検討するべき、などかなり多様な論点があります。

指標の完成と、見直しや改良は、いつまでに必要な指標の開発を完成させ、その後、どのアリーナ(SBSTTA、COPあるいは指標に関する専門家グループ)で、何を根拠に、どの程度の頻度で、検討し合意するかなどの論点があったように思います。最新の科学や技術に応じて改良するのが大事と思う反面、ころころ変わったら、その指標を元に報告を求められる政府担当者は相当困難を抱えることになります。一方、指標がアイデアレベルで、実際のところ存在しない指標というのも、現在指標案に存在することから、指標のギャップを埋めることは、火急の作業となります。

専門家会合も上記の議論を受け、完成までを担う時期と、改善を担う時期とを書き分ける方法など、どちらかといえば技術的な議論が行われました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)