5月19日 SBI3コンタクトグループ

第3回条約の実施に関する補助機関会合は、5月16日から3回のプレナリーを経た後、コンタクトグループ(特定議題を集中的に議論するために設定される会合。プレナリーを補完するもので、言語は英語のみ)での協議に移りました。複数のテーマがコンタクトグループでの協議対象となっていますが、19日20時(日本時間)からは資源動員戦略および資金メカニズム、20日午前1時(日本時間)からは、能力養成と技術移転に関するテーマでコンタクトグループが開かれました。

能力養成および科学技術協力・技術移転は、ポスト2020枠組みの意欲度にも関わってくる仕組みです。能力養成においては「戦略的枠組み」を科学技術協力・技術移転については「強化のための提案」「技術移転のためのセンターのあり方」「技術移転を検討するための助言グループの設立」という付属書を用意し、ポスト2020枠組みとパッケージで検討し、合意に向けて内容を精査していく動きとなっています。

能力養成は、とりわけ途上国が実施やその実施強化のために必須なものとして、事細かなメッセージをまとめようと検討されました。

能力養成について、全体的強化、先進国から途上国への支援強化、国以外の国連機関/条約/国際機関/大学や教育機関等への能力養成強化の奨励、各国の中での能力養成事業の強化、優先度の設定、事業単独でなくより継続的な展開のために「組織化(Institutionalization)」すること、資金的な支援、ポスト2020枠組みにおける各ターゲットごとの能力養成、能力養成の評価や検討、能力養成のためのネットワークや会合(フォーラム)の検討などが出されました。ただし、合意のために交渉するというより、修正要望を出し合うと同時に、検討が不十分の箇所に合意できていないサインとしてスクエアブラケット[ ]をかけていくといった作業となりました。

オブザーバーは、能力養成が、国(行政官)に止めず、女性、ユース、先住民地域共同体などの関係者にもたらされるよう文章の修正を提案しました。

科学技術協力・技術移転も、同様に、実施やその実施強化のために必須なものとして、事細かなメッセージをまとめようと検討されました。

技術移転については、能力養成と同様、全体の強化、先進国や国連・国際機関への協力の要請など共通部分はあるものの、1人の教師が複数の生徒を教えるイメージの能力養成よりも、1人の職人が1人の弟子に伝授するイメージが強いと伝わるでしょうか、技術(シーズ)と需要(ニーズ)のマッチングなどの要素が入ってきます。

検討資料が会議が始まり20分後くらいにウェブサイトに公開されたこともあり、各国文章の検討が不十分という理由から、ほとんどの箇所に[ ] がついてしまいました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)