6月7日SBSTTA24プレナリー

SBSTTA24は、予定されていた会議期間という意味では最終盤の6月7日に、SBSTTA24の本会議(プレナリー)が開催され、IPBES作業計画と、農業と生物多様性のCRP(Conference Room Paper)の検証が行われました。

IPBES作業計画は、6月から始まるIPBES総会に対して、現状のIPBESの作業計画と、生物多様性条約との連動や、IPCCなどの他の機関との関係についてを整理した決定案なのですが、IPBESの作業に対して、専門家に閉じていて政府や生物多様性条約手続きの関与が弱いことに不信あるいは警戒がある南米の国と、IPBESへの期待から様々な作業や評価を積極的に生物多様性条約の仕組み(ポスト2020枠組みのモニタリングや外部評価)に活かそうという欧州の間の意見の隔たりが大きくでました。

不信感のある国からすれば、「パンデミックに関するIPBESワークショップの報告」も自国の意見と異なるために、「歓迎」はしたくない「留意」したいという意見になりますし、IPBESとIPCCの共同事業の成果も、生物多様性条約事務局などの関与のもとに、SBSTTAで検証するという手続きを明確化しよう(あるいは、表記そのものをより一般的なものにして、曖昧さを作る)といった議論になります。ヘジキオ議長は、なんとかまとめようとしますが、ブラケット[ ]という意見が割れていることを示す部分を作って結論を先伸ばすという進行が目立ちます。そのほか、Nature based SolutionsやOne Healthなどの新しい概念についても、時間をかけて意見が交わされた案件でした。

生物多様性と農業は、土壌の生物多様性の保全や持続可能な利用に関する行動計画を採択し、その実施を関係機関や締約国などに求めるなどといったところが中心テーマです。用語(food system)や、農業行政でよくある補助金やインセンティブの記述について意見が多く出ました。行動計画本体について意見を交わすことができず、議論は翌日に持ち越されました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)