ジュネーブ会合2日目の動き

3月15日10時(日本時間18時・以降現地時間に揃えます)に始まった、ジュネーブ会合二日目は、午前にOEWGのコンタクトグループ1(ポスト2020枠組みの構造とゴール)、午後にOEWGのコンタクトグループ2(行動目標1-8)をこなし、夕方19事半からSBSTTA24の報告枠組み、SBI3健康と生物多様性の議題を同時並行で行いました。

OEWG3-CG1(午前)

論点1:マイルストーンの必要性について

多くの国が削除を主張し、一部の国は、削除することを受入可能とする意見がありました。削除の理由は、GBFの構造をシンプルにして、理解や説明やコミュニケーションを容易にしやすくすること、ゴールとマイルストーンと行動目標とを重複を避け、整合性を取って議論することの難しさ、マイルストーンを国内で設定することの難しさなどです。

一方、削除に同意しつつも、マイルストーンに書かれた要素も失わないよう、ゴールや行動目標、指標やモニタリング枠組みなどに入れ込みたいという意見も相次ぎました。

また、2030年に政策が上手くいったかどうかを条約内外で検証するための何かがGBFに必要という意見(現マイルストーンにはこだわらない。マイルストーンを必要とした合理的理由は損なわないようにしたいという意見)もありました。メジャーグループからは、行動目標を組み合わせて達成するものがマイルストーンであり、一つの指標で図ろうとするモニタリングができるのか疑問という意見もありました。

この会合後、お昼に、フレンズオブチェア会合(議論の進め方を検討するために議長が設定する会合)を開き、解決策を検討する旨説明されました。

論点2:横断的な実施のための原則のため新たな章を設けることの是非について

多くの国が議長提案の頻出する基本原則を一つの章で表現する事に賛成しました。その新しい章で言及されるべき原則としては、「先住民地域共同体の参加や慣習的利用への尊重、土地の関りの尊重」、「ユース参画」、「ジェンダー公正」、「権利ベースアプローチ」などが指摘されるほか、「ワンヘルスアプローチ」や「自然に根差した解決策(Nature-Based Solutions)」、「世代間公正」も対象となるという意見も出ました。

ただ、この作業は、I章との重複が懸念されることから丁寧な議論が必要との主張もでました。また、共通原則という章は作りつつも、特定の行動目標に連動する重要な原則を言及することが重要だとする意見も出ました。(これには、各目標の文量を減らしたいという意図と反するという意見もあります)

この新しい章は、新しいテーマなので、ここに書き込むべき要素について事務局に書面(メール)で提出をすることを共同進行役(Co0Lead)は指示しました。

OEWG3-CG2(午後)

行動目標1~8の内容を検証するコンタクトグループ2では、一番要素が複雑に詰まった行動目標4についてから意見出しを行いました。

行動目標4

「生息地・域外保全などによる種の回復と保全、野生・家畜種の遺伝的多様性の回復と保全の積極的な管理行動を確保し、人間と野生生物の相互作用を効果的に管理し、人間と野生生物の衝突を回避・減少させる」(議長代替案仮訳)

種の保全、家畜種の遺伝的多様性確保、人と野生動物の衝突回避などの複数要素が入っていることについて、受け入れる意見。目標を分けて構成しなおす意見、家畜まで広げない野生種までとする、衝突回避についてベースラインがないため管理計画の増加を指標とする案などが出ました。

 行動目標5

「野生種の持続不可能、違法、危険な伐採、取引、利用をなくす」(議長代替案)

ワンヘルスアプローチなどを組み込むアイディア(単独の目標設定を提案する子声もある)、人と生態系の健全な関係性、駄目をなくすではなく持続可能な利用を増やす/確保するなどのポジティブ表現への変更、先住民地域共同体の慣習的利用の尊重。愛知目標6の要素を引き継ぐための修正。ファーストドラフトにあった人の健康と野生動物の関係についての言及を復活させる意見も出ました。バイオパイラシー(生物資源の盗用)の要素を入れる意見

行動目標5と9の重複を指摘する声もありました。

行動目標6

「侵略的外来種の導入経路を特定・管理し、その導入・定着率を少なくとも50%防ぐ、あるいは減少させる。また、優先種と優先地に焦点を当て、その影響を排除あるいは減少させるために侵略的外来種を管理・根絶する。」議長代替案(仮訳)

優先種・優先地域という概念を入れる意見・入れるべきでないという反対意見、「侵略的」かどうかは導入定着後に分かるため外来種に変更、50%防ぐを「顕著」に減少という表現。

目標1~3を同時に検討

「地球上のすべての陸地と海域が、土地と海の利用変化に対処し、既存の原生地域を保持する、生物多様性を包含した統合的な空間計画の下にあることを確保する」

「劣化した土地と海域の少なくとも20%が修復され、それらの間の連結性を確保し、優先的な生態系に焦点を当てる」

「陸域および海域、特に生物多様性と生態系サービスの提供に特に重要な地域の少なくとも30%が、効果的かつ公平に管理され、生態学的に代表的でつながりのある保護区のシステムおよびその他の地域ベースの保全措置を通じて保全され、より広い景観と海景に統合されることを確保する」(共同議長案仮訳)

T1「全ての」の削除、ランドスケープアプローチの重要性、T2生態系回復のベースラインの取り方T3「30by30」への数多くの支持、陸域および海域に加え淡水を加える指摘、先住民地域共同体への配慮など多様な指摘が行われました。

 SBI3 議題9報告枠組み、SBSTTA24 生物多様性と健康

それぞれコンタクトグループが開かれ、検討が行われました。

国際自然保護連合日本委員会/日本自然保護協会 道家哲平