113ヶ国のユースが求める優先事項 – GYBNサイドイベント
あっという間に1週間が過ぎ、ジュネーブ会合も早くも折り返しです。ユースの活動として、先週の16日に開催されたGYBN(Global Youth Biodiversity Network)によるサイドイベントの様子をご紹介します。
サイドイベント概要
サイドイベントはハイブリッド(オンライン併用)型で開催されました。
このサイドイベントでは、各国で数年かけて開催されてきたユース会議の内容をもとに、アフリカ、ラテンアメリカ&カリビアン、アジア、EUの地域コーディネーターから各地域のユースが求める優先事項が発表されました。
開会挨拶では、CBD事務局のユース担当の方からオンラインでのご挨拶がありました。
日本が属するアジア地域グループでは、ジュネーブ会合前に日本としての優先事項を提出し、アジア地域グループでの議論を経て、一緒に作り上げた優先事項を地域コーディネーターのタイのユースがオンラインで発表しました。
地域別ユースの優先事項
GYBNは地域会合の結果をもとに、グローバルレベルでのユースとしての優先事項を設定しています。
①世代間衡平(Intergenerational Equity)
②権利に基づくアプローチ(Rights based Approach)
③変革的教育(Transformative Education)です。
これらの優先項目は、2019年にイタリア・ローマで開催されたOEWG2にて構造化され、それ以降、GYBNの提言やアクション、ワークショップはこの3つに基づいて実施されています。
この3つの優先事項のもととなる地域別の優先事項は下記の通りです。
・アフリカ
- 若者の政策やマネジメントへの参画(Engagement)
- 教育(Education)
- 連携(Collaboration)
- 包括性(Inclusion)
- 資金(Funding)
- 権利(Rights)
・ラテンアメリカ&カリビアン
- 民主的な環境ガバナンスの実現(Democratic environmental governance)
- 資源動員(Resource mobilization)
- 公正かつ衡平な配分 (Fair and equitable sharing)
- 世代間衡平 (Intergenerational equity)
- 人と自然の権利 (Human and nature rights)
- 伝統的知識(Traditional knowledge)
- 変革的教育(Transformative education)
- 科学技術的な研究と協力(Scientific, technical and technological research and cooperation)
- 復元と保全(Restauration and conservation)
- 持続可能な利用(Sustainable use)
- 気候変動(Climate Change)
- 条件整備(Enabling Condition)
・アジア
- 人と地球の幸福のための基盤の主流化(FOUNDATION of the well-being of people and planet must be mainstreamed to safeguard biodiversity for the benefit of all, including future generations)
- 生物多様性損失の直接的要因への対処(We must urgently address the DIRECT drivers of biodiversity loss.)
- 生物多様性損失の間接的要因への対処と社会変容(Transformative change will only happen by also addressing the INDIRECT drivers of biodiversity loss.)
- 権利に基づくアプローチによる公平性と正義を確保(Ensure equity and justice through rights-based approach in the implementation of biodiversity actions.)
- ステークホルダーと権利者の有意義な関与の強化 (Strengthen meaningful involvement of stakeholders and rightsholders.)
・EU
- 持続可能な生産と消費(Sustainable Production and Consumption)
- ステークホルダーの参加(Stakeholder Participation)
- 気候変動対策(Combating climate change)
- 自然生態系の一体性(Integrity of Natural Ecosystem)
- 環境教育と啓発(Environmental Education and Awareness)
- 生物多様性の主流化(Mainstreaming Biodiversity)
このように、ユースの求める優先事項は似ているようで地域によって重視するものも変わってきます。
それぞれの優先事項の発表後、GYBNの政策コーディネーターのMirnaさんから「グローバルユース」としての意見をまとめる際には、様々な地域のユースの意見を1つにまとめるのがとても大変なことだ、とコメントがありました。たとえば、彼女の出身のボリビアやその周辺地域では、Environmental Defender(環境活動家)の課題が優先的に取り上げられますが、他の地域ではそうではない、といったようなことです。
また別のブログで国際会議でのGYBNの活動について紹介できればと思います。
矢動丸琴子
一般社団法人Change Our Next Decade