“Stop the killing” – CBD Allianceアクション
会合中の各締約国やオブザーバーの発言や、会議文書の中には “rights based approach(権利に基づくアプローチ)”やHuman rights(人権)、Rights of nature(自然の権利)という単語がしばしば登場します。既に少しご紹介したユースの優先事項の中にもこの「rights(権利)」に関する事項が位置づけられています。(ユースの優先事項についてはこちら)
私はこの内容に関する専門家ではありませんし、十分な知識も持っていません。そのため、個人的にではありますが、新たな世界枠組や関連する議題を検討する上でこれらの項目が必要だということは少なからず理解することができ、要素として不要だとも思ってはいない一方、なぜこれらの内容を、途上国、先住民に加え、世界ユースやNGO等が“非常に強く”主張しているのかがどうしても腑に落ちないままでした。
そんな思いを悶々と抱えていた矢先、24日(木)のお昼にCBD Alliance(*CBD Allianceの概要はこちらをご覧ください)による人権に関わるアクションがありました。なお、3月25日にご紹介したユースのアクション(記事はこちら)もこのアクションに連動するものです。
**「暗殺」などのセンシティブな内容/言葉を扱っていますので、苦手な方はご注意ください。
“Stop the killing” - 環境活動家や人権擁護活動家を殺さないで
CBD Allianceによるアクションは、これまでに暗殺等で殺されてしまった環境活動家や人権擁護活動家の方の写真を持ち、静かに会議場内のロビーにたたずむものでした。
しばらく無言の時間が流れた後、今回のアクションの中心的人物が、アジア(フィリピン)、アフリカ(南アフリカ)、ラテンアメリカ&カリビアンで起った実際の事件について紹介し、「メッセージはシンプルです。(彼らを)殺さないでください」と強調して訴えました。これらの人たちは、先住民の場合がほとんどのようで、女性の方も含まれています。また、この活動家の中には、わずか22歳で暗殺されてしまった青年も含まれていました。
2020年には331人の環境活動家が犠牲に
アクション後、この問題に関する詳細について簡単に調べてみたところ、2020年には少なくとも331人の環境活動家が殺害されており、明らかになっていない事案も多くあると考えられていることがわかりました。特に、南アメリカ大陸での事件が多く、自らの土地を守りたいという思いを抱える先住民族が被害に遭うことが多いそうです。正直なところ、日本に暮らしているほとんどの方がピンとこない話題かとは思います。しかしだからこそ、簡単ではありますが、今回のブログで発信したいと思いました。
関心を持っていただけた方は、関連する単語で検索すると日本語のニュースも出てきますし、英語ですが、2021年9月のIUCN 世界自然保護会議で出版されたIUCN環境経済社会政策委員会、通称CEESP(Commission on Environmental, Economic and Social Policy )による資料「Policy Matters 22 – Special Issue on Environmental Defenders」もありますので、ぜひそちらをご一読ください。(リンクはこちら)
生物多様性における「権利」は複雑
これまで私は、複数回の国際会議に参加してきた経験から、豊かな生物多様性は、あらゆる立場の人の一種の権利の1つとして捉えてきました。しかし、恥ずかしながら、私の思っていた「権利」以上に“rights based approach”が意味する“rights”のバックグラウンドの問題は根深かいことがわかりました。
特に、危険な状況や、恐怖、不安と隣り合わせになりながらも、先祖代々受け継いできた土地や知識、資源などを守りたいと、環境保護活動をされている方が世界にいるということを、このアクションをきっかけに知ることができました。日本における生物多様性や自然環境が抱える問題とは大きく異なるものがあるように感じます。
今後も生物多様性における「権利」について、様々な情報を精査しながら、考えていきたいと思います。
矢動丸琴子
一般社団法人Change Our Next Decade