COP15-9日目(12月15日)の進行

閣僚級会合が始まりました。会場を歩いていると、金色のバッジを付けた方(閣僚級会合に入れる方)が歩いていて、時には、SPを連れているのを見ると、どこかの国の大臣なのだな~と、また新しい風景の会場となっています。

毎朝、日本(オンライン)と現地のメディア向けにレクを行っています

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9日目(15日)は、第1作業部会は、主流化、資金メカニズム、能力養成のそれぞれコンタクトグループを、第2作業部会は、政府のみのコンタクトグループとして気候変動の議題を扱いました。お昼に報告枠組み、午後に、資源動員、GBF(行動目標15と17)、夜にGBF(行動目標19.1)、名古屋議定書4条4項の特別アクセスを議論しました。

行動目標の15(企業への主流化)は、注目を集めた「義務的要求も含めて」に、再び焦点が当たりました。ABS関連のレポートと一緒でないと義務を認めないとした国は、その文章が解決したので、同意に動いたのですが、今度は別の国が異議を申し立てはじめ、再度、義務にブラケットがかかる状況になりました。議長からもイライラした様子が見受けられました。

行動目標17は、遺伝子組み換え生物(生物多様性条約の用語では、Living Modified Organism:LMO)、バイオテクノロジー、合成生物学と、複雑なキーワードが並ぶ目標だったのですが、クリスマスツリーの飾りつけ(参照はこちら)によって、適正手続きを進める対象と、推進する対象とがバランスが悪くなり、小グループで文章を再構築することになりました。

行動目標19.1は、民間からの資源、国内の資源動員、気候変動資金との連動(ダブルカウントを削除)、非資金的資源動員(コミュニティー主導手法の記述)、革新的手法の模索などについて表現の修正に集中しました。

新規の目標(ワンヘルス)という議論もありましたが、行動目標にするには議論が熟してないことと、基本原則に反映させることで解決しようとの折り合いも見られたので、行動目標は22だけになりそうです。

セクションH(支援メカニズムや条件整備)は、当初長い文章だったのですが、能力養成や資源動員戦略などを重要な計画等をリストアップし、その実施によって進めるといった短い文章でまとめていく方針が決まり、作業が加速しそうです。

Huan議長の進行指示

15日の午前中には、COP15議長のフアン議長から、交渉の成功に向けてのガイダンスが示されました。

昨日の政府代表者(Head of Delegate)との意見交換の結果、GBF、資源動員、DSI、立案・モニタリング・報告、能力養成が重要課題と認識。

コンタクトグループで技術的課題を実施、閣僚級インフォーマル会合で政治的レベルでの課題解決 Double Track方式を採用する。

閣僚級インフォーマル会合では、下記3つのグループと、二人ずつのグループの進行役を指名し、検討を開始する。

・ルワンダのJeanne d’Arc Mujawamariya、ドイツのJochen Flashbarthが、資源動員とGBFの関連事項(行動目標18、行動目標19.1)

・チリのMarisa Rojas、ノルウェーのEspen Barth Eideが、DSI

・エジプトのYasmine Fouad、カナダのSteven Guilbeaultが、GBFで大きな課題、ゴールAと行動目標1~3

なお、技術的協議は17日のストックテイクプレナリー(当初の予定は17日の午前ですが)それまでに解決することが指示されました。

ハイレベル会合には、126の環境大臣、77 副大臣が140ヶ国から参集し、60名の国際機関や団体の事務局長級が参加しているそうです。閣僚のスピーチでは、GBFについて意欲的(Ambitious)で、堅固な(Bold)~といういつもの形容詞でしたが、それに少し加わり、実践的で、達成可能なGBFというキーワードが加わるようになったそうです。実践的というのは、今のGBF交渉のbracketを外すための判断基準として出始めたと分析する人もいました。

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国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平(日本自然保護協会)