COP12主要決議紹介ー資源動員戦略
COP12の主要成果であるピョンチャンロードマップは、愛知ターゲット中間評価と実施・支援メカニズム、資源動員、持続可能な開発と生物多様性、多国間条約連携からなるとされています。
COP12の主要決議(ピョンチャンロードマップ)の一つである資源動員についても無事に合意されました。
<目標値>
a.2015年までに、生物多様性に関係する途上国への資金の流れ(International Flow)を2倍にする(先進国のみならず、途上国から途上国の流れも含む)。2020年までは、その金額を維持する。
b.2015年までに、75%(100%になるよう努める)の国が、生物多様性を国家の優先項目または発展計画に組込み、国内における生物多様性への適切な支出を図る
c.2015年までに資金提供を受けた国の75%(100%になるよう努める)が、国内における生物多様性への支出および資源需要、ギャップ、優先度に関する報告を行い、確固たる基準値の把握や目標値の改善に資するようにする
d.2015年までに資金提供を受けた国の75%(100%になるよう努める)が、生物多様性に関する国家財政計画を提出し、30%のそれらの国が、生物多様性の内在的、生態学的、遺伝的、社会経済的、科学的、教育的、文化的、レクリエーション的、審美的価値を査定または評価する。
e.2020年までに国家戦略の効果的な実施にむけて、国内レベルで、特定された需要と利用可能な資源の間のギャップを減らすためあらゆるソースからの国内財政資源の動員を行なう
という目標値をまとめました。
また、
(パラ3)COP13において、上記目標の進展と、その適正さを検証し、財政報告枠組みを通じて提供された情報に基づき、適切な行動の必要性を考慮する
(パラ4)締約国に対して、国際・地域団体の支援を得ながら、各国の国内資源動員戦略または特定した需要や優先度に沿った財政計画の立案を求める
ことになりました。
生物多様性に関する誘導措置(補助金)について、その具体化に向けた手順やマイルストーンが採択されました。
具体的には、
2015年までに、改定されたNBSAP(生物多様性国家戦略行動計画)に愛知ターゲット3に対応する国内目標とそれに付随する行動の開発や設定を行なう。行動には3つのものが含まれうる。
生物多様性に悪影響を及ぼす誘導措置(補助金含む)であって廃止、段階的廃止、改革の候補となるものを特定し、生物多様性のための既存の資金ツールの効果を高め、好影響の誘導措置の設計と実施を促進する機会の特定する分析的研究の実施 他2つ
2016年(COP13)までに、廃止、段階的廃止、改革の候補が既に知られている場合は、その廃止等に向けた、速やかな政策措置または法的行動が展開される。
2016年(COP13)までに、分析研究を完了させる
2018年(COP14)までに、国家戦略の改定に沿って、政策計画と行動計画をまとめ上げる。その中には、(i)廃止、段階的廃止、改革の候補となる悪影響を持つ誘導措置の特定、(ii)その廃止、段階的廃止、改革につなげる手法の優先リストを提供する、(iii)生物多様性の保全と持続可能な利用に関する好影響の誘導措置の導入や強化につながる手法の優先リストを提供する、(iv)関連するスケジュールやマイルストーン、を含める。
その他に、技術支援や能力開発、資源動員戦略(生物多様性への財政メカニズムにおけるセーフガードの指針)、財政報告・情報の透明化や入手可能性に関して合意を行ないました。
(公財)日本自然保護協会 道家哲平