SBSTTA23 2日目 ポスト2020に関する検討が本格化
前日の議論を引き継ぎながら、SBSTTA23の2日目(26日)は、ポスト2020枠組み、気候変動と生物多様性、生物多様性と文化のリンクに関する作業要素についての検討が行われました。
SBSTTA2日目(26日)の夜7時にはポスト2020枠組みに関するコンタクトグループが開かれ、ミッションについて4つの表現案をもとに、実現可能性・必要な要素をとらえているか、どのような明確化が必要かについて議論を行い、どのようなミッションの書き方が合意に至る可能性があるかが話し合われました。
ポスト2020枠組みへの科学技術的インプット
たくさんの国から、たくさんの指摘が行われました。メモをそのまま掲載した部分もありますが、参考までに羅列します。
・あらゆる国の多様性を考えつつ、シンプルな目標設定が重要。
・ロジカルな枠組みが重要である。IPBESの5つのドライバーに絞る必要。
・指標を同時に設定することが重要→ゼロドラフトに指標の現状を反映させる。
・ツールやガイダンスが非常にたくさんあるが、絞る必要。
・IPLCの重要性、ジェンダーレスポンシブ、共同で資源動員の3点が重要
・SMART目標の重要性。非物的サービスや、文化の視点も重要。土地利用に関するアプローチを組み込みたい。慣習的利用に関する取組を議論するための調査の要求。
・ミッションはシンプルでコミュニケーション可能なものにしたい。
・様々なゴールやターゲットが設定されるべき。持続可能な利用の目標が重要。ジェンダーの認識や能力養成、意欲的な目標設定が重要。生態学的フットプリントを指標にするべきではないか。生態学的バウンダリーも重要ではないか。
・Living within Planet boundaryを活用した、ミッションの表現を作ってはどうか。オバーシュートデーもコミュニケーションしやすいものではないか。生態学的アプローチの重要性
・長期的なアプローチを支持。ベネフィットという言葉よりも、エコシステムサービスを使いたい。自然生息地について質的量的に取り組むことが重要。指標を早めに取り組む
・SAMRTターゲットや、指標や、モニタリングなどについてOEWGからの指示。科学的視点を検討することが重要。指標やモニタリング枠組みを検討することが重要。汚染や、持続可能な利用、廃棄などの、循環型社会の要素を検討するべき。IPLCやジェンダーも重要。
・長期的なゴールを指示。山岳や海洋やサンゴなどの脆弱な生態系への注記。目標については基本賛成、SMARTターゲットにすることが重要。コンタクトグループで検討したい。
・セクターオリエントターゲット、コリドー、新しい技術について言及したい。気候変動と生物多様性の目標を、ユースの支援、他の環境条約との連携強化
・2030ミッションは、もっと、人の行動を掻き立てるようなものにするべき。3つの目的のもとにストラクチャーを作るべき。指標について改善し、2回目のOEWGでの議論したい。
・2020枠組みは国の枠組みに結び付く必要。ミッションは改善可能。生物多様性の持続可能な利用についてもっと強化。ベネフィット という用語。Behabiorギャップ。資源動員ワークショップで具体的な目標が設定されることを望む。自然資本や経済の要素、文化などをポスト2020に組み込むべき
・あらゆるセクターの参画と動機付けの重要性。
・ビジョンと、ミッションとターゲットとサブターゲットを分けることが重要。これに調和するNBSAPが重要。他の環境条約との、報告の仕組みも含めて、検討することが重要。保護地域やOECMなど、Area Based Targetは一つに。生態学的連続性を一つの目標に。CMSが連続性の定義をまとめている。ベルンワークショップでより検討を深める。愛知目標7とリンクする目標設定を行うべき。
・指標について議論をSBSTTAで深めるべき。モニタリング枠組みについても議論する必要がある。ゴールとターゲットについて明確な構造とレイヤーを設ける
・実施の強化。2020枠組みは、実施とその透明性の確保が重要。目標と同じくらい手続きが重要。
・持続可能な利用や、NCPへの貢献など。名古屋議定書。土地利用なども焦点もランドスケープアプローチを通じて実施。海や沿岸のアプローチも重要。実施の手法は、単独の章として建てるべき。
・一貫性のあるロジックを希望。ロジカルフローの強化。指標とモニタリングについて更なる検討を深めるべき。生態系健全性や、ポリネーションや土壌。オーバーアーチング目標の設定の重要性
・沿岸と海洋のアプローチが大事。生態系アプローチやランドスケープアプローチ、外来種、主流化、ランドスケープアプローチを入れ込みたい。Eco-DRRも入れたい。グローバル指標が、国レベルに活用していない理由を検討して、GBO5に入れてほしい。
・目標未達成の理由が、強いモニタリングシステムやレビューシステムがなかったこと。様々なドメインに生物多様性を配慮するためにも、ランドスケープアプローチが重要。
・アフリカやアラブなどの主張を支持。指標について検討を深めるべき。目標はコミュニケーションツールとしても活用されるべき。目標はSMARTであると同時に、理解可能で、コミュニケーションしやすいものであるべき。利益配分や
・インダイレクトドライバーを組み込むべき。目標は具体的でシンプルであることを望む。変革の重要性。生物多様性の損失を最大まで減らす必要がある。ポスト2020と他の環境条約との連動。
・SMART目標を設定するための議論が必要。ポスト2020を貧困撲滅計画と結びつく必要がある。実施のサポートへの強いコミットメントが重要。他の2つの議定書をカバーするべき。
UNEP-CCD:サブミッションに注目してほしい。土地利用やランドスケープアプローチ、劣化、社会経済的指標など様々な提案を行っている。2030年までの戦略を設定しており、それと、うまく連動させたい。自発的な土壌中立性?の目標へのコミットメントを進めたい
ボン条約のもとにCMSワーキンググループを開催し、WCPA委員長や連続性の委員長やその他専門家の協力を得て、生態学的連続性の原則やアプローチなどを取りまとめた。生態学的定義や、連続性を単独の目標、具体的な目標の表現、コミットメント NBSAPの改善などの提言をまとめた。生態学的連続性をポスト2020に組み込むべき。
ラムサール:リエゾングループからの提言。条約間連携の強化。NBSAPの活用が重要。生物多様性関連条約とリオ3条約との連携。
FAO:愛知目標の一部は、環境省の役割を超えており、多様な省庁が取り組む必要がある。食料と農業に関する現状レポートの更新、FAOの内部の仕組みを変えて、ポスト2020に貢献する。遺伝的多様性の重要性について記述。愛知目標7についても、森林だけに集中することは良くない。土壌の生物多様性の視点、野生生物との衝突の課題も重要
WHO:生物多様性と気候と健康に関するイニシアティブなどが立ち上がる予定。生物多様性の保障や水、気候変動の課題は、健康や人々の福祉に貢献するものであるべき
UN Women:ジェンダーレスポンシブ視点の重要性。ジェンダーレスポンシブを進めるために、単独の目標や指標を設定することが重要で、具体的な表現を提案済みである。ジェンダーアクションプランの更新と実施とモニタリングの強化。
ITPGR:10日前に議論を実施。ポスト2020に貢献することを議論した。ITPGRとCBDとの連動の重要性を管理理事会で共有し、提言をまとめた。生物多様性は、農業や食料安全保障や持続可能な農業、遺伝的多様性の保全、気候変動の適応などに重要であることを確認。
UNU: ランドスケープアプローチへの言及に感謝。ランドスケープアプローチがポスト2020の重要性。
IUCN: 自然の危機に取り組む活動に焦点を当てるべき。ナショナルターゲットが、グルーバルターゲットを達成するべき。Area Based Conservationのアプローチが重要。種の保全について強力な行動計画が必要であるという結論。IUCN世界自然保護会議2020の重要性。
IIFB:公正や公平なガバナンスの重要性。人権やUNDRIPの言及が重要。土地利用に関する政策は先住民のテリトリーに関する、自己決定権も含めて、先住民の権利への尊重が重要である。
GEO-BON: 指標については、生物多様性データの共有などが重要。ポスト2020枠組みに、各国のモニタリング体制の維持に投資することの重要性を理解してもらいたい。同時に、生物多様性データへのオープンアクセス化(やその基準化の推進)に締約国も協力することが重要。
自治体:自治体の参画の重要性やコミットメントが重要。自治体も多様な経験が存在、そのモデルなどを共有することができる。
ETCグループ:技術アセスメントに関して。技術移転。第4次産業革命の名前で、AIや人工肉、合成生物学などが生まれている。技術部門が生物多様性の損失も含めた、生物多様性の現状を大きく変える可能性があり、アセスメントをあらゆるレベルで行われるべきである。技術移転だけでなく、ホライズンスキャニングや技術モニタリングなどが必要である。
フォレスト:負の補助金や奨励措置の改善が非常に重要。市場メカニズムについての危険性を認識するべき。生物多様性の損失原因の根本要因に取り組むべき。経済も含めて。
ポリネーターに関するネットワーク:ポスト2020枠組みで、重要なターゲットと指標として、カバーするべき。
WWF:意欲度のレベルについて関心がある。2030年までに、Haltでなく、Reverseが重要である。条約の3つの目的にそった目標を設定の上で、サブターゲットとして、IPBESの指摘する損失のドライバーに寄与する目標設定が重要ではないか。
BINGO:ミッションの意欲度が低すぎる。主流化=具体的な行動を伴う目標の設定。財政に関する目標設定。高いレベルの実施に関するコミットメント。2050年のビジョンは、2030年までの明確なステップがなければ達成し得ない。NBSによって気候危機に対処することが重要。
WCS:生態学的完全性(Ecological Integrity)の確保の重要性。
夜のコンタクトグループでは、2030ミッションの表現ぶりについて、
4つの案をもとに意見交換が行われた。
国際自然保護連合日本委員会事務局長 道家哲平(日本自然保護協会)