SBSTTA23 3日目。再び深夜まで続くポスト2020枠組み交渉

SBSTTA23  3日目の報告です。本会議では、残された議題(持続可能な野生生物管理、科学技術協力、重要海域特定作業(EBSA)、新規の緊急課題)の意見表明を終えました。

夜7時から11時まで、火曜と同じようにポスト2020に関するコンタクトグループが開かれました。

IUCN-Jの生物多様性ユースアンバサダー事業のチラシも配布しています

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昨夜は、2030ミッションに関する意見交換でしたが、今回はターゲットに関する意見交換です。

ターゲットになりそうなテーマについて、その内容に入れるべき要素についてそれぞれ意見を述べるという進行です。(関連資料は、こちら。英語PDF.

具体的には、生物多様性の状態に関するターゲット(様々な取組の結果、どういう状態に持っていきたいかという位置づけになる目標群です。ハビタット、種の二つが選定)や、生物多様性の損失要因(Direct Driver)に関するターゲットについての意見交換を行います。

合意をまとめようという交渉ではなく、意見出しに近い為、忌憚のない、多様な意見が出されます。コンタクトグループ議長から、「科学的技術的見地からの意見をお願いします」としばしば方向修正がなされます。

意見交換とは、例えばここでは、Natural Habitat(自然生息地)としてしまうと、農地などが入らないが、農業生態系も貴重な生息地になる可能性があるため、Habitat ではなく、Ecosystemという表現を使うべきでは?とか、単に復元(restoration)ではなく、生態学的復元(ecological restoration)という表現が重要ではないか。それによって、生態系としての機能をもった復元が重要というメッセージが伝わり、単一植林(モノカルチャ)の森林再生などを防げるのではないか。保護地域は、面積だけでなく、代表性や連続性を確保するような保護地域面積の拡大や、管理の質などにも注目されるような要素が大事である、といった意見などがいくつも出されています。

1.海も含む、土地利用の変化

保護地域などの自然保護を目的とした土地に関わる視点と、農地や都市などのランドスケープなど自然保護を目的にしていない土地(管理次第で自然との共生がはかれる土地)の視点と、劣化したり転換された土地の再生の視点などの3つが検討されました。

2.過剰利用

消費と生産や、野生生物の捕獲、プレッシャーの要因になりそうな産業の指摘などがありました。

このテーマは、貿易を通じた危機要因や違法取引など生物多様性条約ではなく、ワシントン条約に関連しそうな要素がだされ国の中でも生物多様性条約に制限した内容にすべきかどうかが議論となりましたが、ポスト2020目標は生物多様性全体(関連条約の)大きな指針になるものだから、科学技術的見地からも、現段階で条約間の役割分担云々などの制限を付けるべきではない、という意見に多くの賛同が集まりました。

交渉の様子をモニタリングし、日本に届けるのもNGOの大事な仕事

交渉の様子をモニタリングし、日本に届けるのもNGOの大事な仕事

IUN-J 道家哲平(日本自然保護協会)