「第2回ポスト2020特別作業部会」の合同報告会を開催いたしました

2020年3月26日(木)にCovid-19の感染拡大を懸念し、通常の対面形式ではなく、オンライン形式にて、「第2回ポスト2020特別作業部会」の合同報告会を開催いたしました。今回のような完全オンライン形式での報告会は、国際自然保護連合日本委員会では初の試みとなりました。

主催:国際自然保護連合日本委員会、環境省、地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)
共催:日本自然保護協会、コンサベーションインターナショナルジャパン、Change Our Next Decade
協力:環境省

当日は、北海道から九州まで全国各地から、NGO、ユース、企業、研究者、行政機関等の多様なセクターの方が、最大70名程度ご参加されました。

報告会の概要

ポスト2020枠組の議論内容と各セクターからのポイント紹介

報告会は、国際自然保護連合日本委員会/国連大学サステイナビリティ高等研究所の渡邉氏による開会挨拶・趣旨説明から始まり、次いで、国際自然保護連合日本委員会/日本自然保護協会の道家哲平氏による全体概要の説明が行われました。

全体概要では、まず、事前知識として、現在の愛知目標についても紹介を行い、その上でポスト愛知目標の交渉段階がいまどの段階にあるのかについて解説を行いました。第2回ポスト2020特別作業部会(2nd-OEWG)の概要の解説では、関連するテーマ別会合やその他の検討プロセス、過去の決議内容などを参考として紹介しつつ、2nd-OEWGの位置づけ(役割)について説明した後、会議の進行やスケジュール、共同議長より提示されたゼロドラフトについて解説がありました。

2nd-OEWGの成果としては、ポスト2020枠組みゼロドラフトについて出された意見や具体的修正案をまとめた付属文書を採択し、その成果を受け、SBSTTA24等の今後に続く会合への申し送りを整理したことでした。(「付属書」についても、当HPに掲載しています)

環境省生物多様性戦略室の中澤圭一氏からは、日本として主張したポイントや、2nd-OEWGの主要な論点について、行政(政府)機関からの立場で報告が行われました。

続く国連大学サステイナビリティ高等研究所の柴田泰邦氏からは、2019年9月に熊本県で開催されたランドスケープアプローチに関する専門家テーマ別ワークショップの成果報告や、国連大学からのインプットについて報告されました。

最後の発表者のChange Our Next Decade(COND) /国際自然保護連合日本委員会の矢動丸琴子氏からは、国際的なユースのネットワークであるGYBN(Global Youth Biodiversity Network)のポジションペーパーやユースとしての優先事項とそれらに対する締約国の反応、日本ユース(COND)のポジションペーパーのポイント紹介などが行われました。

補足コメントでは、コンサベーション・インターナショナル・ジャパン/国際教養大学の名取洋司氏と、電機・電子4団体生物多様性ワーキンググループの宮本育昌氏から、条約のマンデートや、ビジネスセクターから見たアクションターゲットに関する補足について簡単に紹介されました。

各発表者に対する質疑やコメントでは、生物多様性の主流化、SATOYAMAイニシアティブ、ランドスケープアプローチに関する議論の状況などがリアルタイムで質問され、事前に申し込みフォームにて収集していた、生物文化多様性イニシアティブについて現在の展開、ポスト2020で企業にとってのリスク、海洋の生物多様性、他の条約との関係性等についても、回答が行われました。

初の試みとなった完全オンライン形式での報告会

今回の報告会では、オンライン会議システムのZoomを用いて、各発表者が全員遠隔からの発表を行いました。各発表者への質問やコメントは、事前に用意したGoogleフォームを使用して集約し、各発表者の報告が終わる度に司会者が読み上げることとしました。質疑応答のセクションでは、聴衆の方からの発言もいただく予定でしたが、発表に予定以上の時間を要してしまい、通常実施している対面形式の報告会よりも、質疑応答の議論を活発に行うことができず、双方向型のコミュニケーションはあまり行うことができませんでした。また、各発表者への質疑も質問者に偏りが見られてしまい、今後双方向型のコミュニケーションを取りつつ実施していくことが課題の1つとして考えられました。

しかし、事後アンケートでは、特に遠方参加者の方や、移動が多い方から、参加がしやすくなったという高評価をいただき、プレゼンの画面も見やすかったので良かったというご意見をいただきました。また、事前にZoomの使用方法、発表者の当日プレゼン資料を事前公開していたことから、完全オンライン形式であっても参加しやすかったとのご意見をいただきました。個人のインターネット環境によっては、声が聞き取りづらくなってしまっていたそうなので、今後はそのような点についても、できる限りの解決方法を検討していく必要があると考えられました。

プログラムと当日の発表資料

<開会挨拶・趣旨説明>
国際自然保護連合日本委員会/国連大学サステイナビリティ高等研究所・渡邉綱男

<概要報告>
●国際自然保護連合日本委員会/日本自然保護協会・道家哲平
「生物多様性条約 第2回ポスト2020作業部会 報告 生物多様性世界目標の行方」
(発表資料①)(発表資料②)

<各テーマの注目・解説>
●環境省 自然環境局生物多様性戦略推進室・中澤圭一
「ポスト2020に関する第2回非公開作業部会(OEWG2)ご報告」(発表資料)
●国連大学サステイナビリティ高等研究所・柴田泰邦
「Post2020に関するOEWG2合同報告会 話題提供」(発表資料)
●Change Our Next Decade(COND) /国際自然保護連合日本委員会・矢動丸琴子
「国際的なユースのポジション・動きについて」(発表資料)

<補足コメント>
●コンサベーション・インターナショナル・ジャパン/国際教養大学・名取洋司氏
●電機・電子4団体生物多様性ワーキンググループ・宮本育昌氏

IUCN-J事務局 矢動丸琴子