SBI3 報告、モニタリング、実施のレビュー

5月25日8時から行われたSBSTTA24 プレナリーにおけるポスト2020枠組みに関する会合から、2時間後、26日午前1時(日本時間)には、SBI3の議題9にある「報告、モニタリング、実施のレビュー」の議題がコンタクトグループで検討されました。過去この議題は、どのようなタイミングで国別報告書(National Report)の提出を求めるか、その報告を元に、いつの締約国会議で、どんな評価(例えば地球規模生物多様性概況(GBO)の編纂)を行うか、どのようなフォーマットで、各国から回答を求めるかとか、他の条約でも義務付けられる報告との作業重複を避けるという議論が中心でした。

今回は、とても重要な論点が組み込まれています。

それは、レポート内容は、国の取り組みだけか、非政府主体の取り組みや貢献も入れていくのか、ポスト2020枠組みの設定⇨各国の国別目標設定⇨報告を集約・評価し、意欲度の達成に充分か(ギャップ分析)⇨さらなる意欲度を上げる仕組み、という戦略目標の中間で、各国(または、民間の貢献も含め)の意欲度を高める仕組みを検討するという、サイクルを設定するかどうかという論点が入っていて、会合でもかなり長い時間をかけて、意見交換が重ねられました。

背景には、パリ協定のように、生物多様性でも、各国の目標設定の総和と、世界目標とにギャップがあれば、戦略期間中でも、その差を埋める取り組みがないと世界目標達成が再び失敗するという発想です。愛知目標の評価でも同様の反省(世界目標の意欲度と、各国の目標設定の意欲度に差があったために、実施が不十分であった)があったことにあります。

先進国などは、生物多様性国家戦略の改定や、民間による貢献なども期待する仕組みを構築し、かつ、戦略期間(2021−2030)の間で意欲度を高めるということを期待した意見を提示し、途上国は、民間の寄与や情報取りまとめの手法などに懐疑的で(そして、先進国による途上国支援の義務を有耶無耶にするために民間を入れているのではという警戒もあるかもしれない)、生物多様性国家戦略の仕組みで十分とする意見が大きく溝のある意見のように感じました。

生物多様性条約は、条約第6条に定められた仕組みなのですが、今回話題になる、国による貢献(National Contribution)あるいは国による公約(National Commitment)

意欲的目標と意欲的実施と意欲的資源動員というパッケージ(バランス)の議論でもあり、すぐに合意というわけにはいかないと思われます。

 道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)