8月27日 第3回ポスト2020枠組み作業部会 CG4

8月27日20時(日本時間)から3時間半を費やし、コンタクトグループ4が開かれ、行動目標の14-21(ツールや解決策)について議論が行われました。冒頭、過去の会議を振り返り、この議論の意図や成果の活かし方などが説明されました。

第1回ポスト2020作業部会(2019年8月、ナイロビ)の写真。IUCNチームの一員として

第1回ポスト2020作業部会(2019年8月、ナイロビ)の写真。IUCNチームの一員として

ファーストドラフト 行動目標14

Fully integrate biodiversity values into policies, regulations, planning, development processes, poverty reduction strategies, accounts, and assessments of environmental impacts at all levels of government and across all sectors of the economy, ensuring that all activities and financial flows are aligned with biodiversity values.

政府のあらゆるレベル、経済のあらゆる部門において、政策、規制、計画、開発プロセス、貧困削減戦略、会計、環境影響の評価に生物多様性の価値を完全に統合し、すべての活動と資金の流れが生物多様性の価値に沿ったものになるようにする。

政府における主流化に関する目標ですが、生物多様性の価値を様々な行政プロセスに組み込む趣旨ですが、このプロセスに、追加的な言葉を加えるアイディアが多く出ました。例えば、投資、予算立案などの列挙がありました。あらゆる部門を、具体化(農林水産業、鉱工業など)するアイディア、環境アセスを拡張して、戦略アセスや、社会経済文化的な評価に広げるなどの意見が出ていました。生物多様性の価値については、定義されているのでそのままで良いとする意見もあれば、曖昧なので、存在価値や文化的価値などが大事とする意見もあったように思います。

議論の最後の方は、短い文章にしたいという意見がでたのは、これまでのコンタクトグループと同じ展開です

ファーストドラフト 行動目標15

All businesses (public and private, large, medium and small) assess and report on their dependencies and impacts on biodiversity, from local to global, and progressively reduce negative impacts, by at least half and increase positive impacts, reducing biodiversity-related risks to businesses and moving towards the full sustainability of extraction and production practices, sourcing and supply chains, and use and disposal.

企業にとっての生物多様性関連のリスクを軽減し、採取・生産、調達・サプライチェーン、使用・廃棄の完全な持続可能性に向けて前進しながら、すべての企業(公的機関、民間企業、大企業、中堅企業、中小企業)が、地域から地球規模までの生物多様性への依存度と影響を評価・報告し、負の影響を半分以上削減し、正の影響を増加させる。

この目標にはたくさんのコメントや意見が出ました。現在、「企業が」と企業主語になっていますが、政府による企業の取り組み促進となるような文の作りの提案やその際に奨励措置だけでなく規制措置も必要という意見があります。また、評価と報告という言葉は弱いので、定期的な評価と開示(disclose)が必要という意見、ビジネスだけでなく金融セクターも入れるべきなどの意見が見られました。大企業と中小企業の生物多様性への影響が異なるので、その責任分担のかき分けが必要という意見もありました。また、数値目標設定として、すべての企業の行動というのが素案の構造ですが、企業の行動を通じた負の影響の低減(例えばフットプリントで測れる目標に変える)という構造にするのはどうかというアイディアも出ています。また、目標として、Nature-positive(自然が回復する)というより影響を緩和するだけでなく、生物多様性にプラスの影響を出すような意欲的な方向を主張する意見も見られました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)