8月31日 第3回ポスト2020作業部会 CG1と本会議

8月31日20時から日をまたぎ9月1日3時まで、第3回ポスト2020作業部会のコンタクトグループ1及び本会議(プレナリー)が開かれました。

 

プレナリーの様子

プレナリーの様子

コンタクトグループ1

コンタクトグループ1では、ゴールBから、ゴールDおよび構造やA章からE章までを検討しました(最後は、かなりのスピードで、要素を取るのが難しいほどでした)

ゴールB 素案

Nature’s contributions to people are valued, maintained or enhanced through conservation and sustainable use supporting the global development agenda for the benefit of all

すべての人の利益のために世界の開発アジェンダを支援しつつ、自然の人々への寄与が、保全と持続可能な利用によって価値づけられ、維持され、強化される。

意見 IPBESが定義したNcPより生物多様性と生態系サービスという表現を希望する意見や、持続可能な利用に集中させる意見、価値づけられ(Value)という表現を貨幣換算されるとの理解から、もっと一般的な表現に置き換える意見(理解される)や、より多様な自然の価値と概念を広げる意見や、生物多様性と生態系サービスとした上で「回復」という表記を入れる意見や、プラネタリーバウンダリーの範囲内で利用が収まるようにという表現を入れる意見などがありました。

ゴールC 素案

The benefits from the utilization of genetic resources are shared fairly and equitably, with a substantial increase in both monetary and non-monetary benefits shared, including for the conservation and sustainable use of biodiversity.

生物多様性の保全と持続可能な利用を含め、共有される金銭的利益と非金銭的利益の両方が大幅に増加を伴いながら、遺伝資源の利用から得られる利益が公正かつ衡平に共有される。

意見 金銭的・非金銭的利益を把握することが難しいことからこの用語を削除するという意見から、遺伝資源の利用を、遺伝資源や派生物の利用という広げる意見や、遺伝資源の「あらゆる形態の」利用という更に広げる表記、交渉中の「DSI」というキーワードを入れたいとする意見もありました。資源動員戦略との連動や、先住民地域共同体への配慮の表現を提案する意見もありました。

ゴールD

The gap between available financial and other means of implementation, and those necessary to achieve the 2050 Vision, is closed.

利用可能な資金やその他の実施手段と、2050年ビジョンを達成するために必要な手段とのギャップが解消される。

意見 主流化を明記する意見や、生物多様性に悪影響をもたらす資金の流れを変える(あるいは、CBDの目的に沿うように資金の流れが確保される)といった、ポスト2020枠組みの実施に限らない、資金や手法の拡大など広げる意見が多く出されました。

その他、構造や背景やミッションなどが記述されている章への意見出しがなされました。ゴール・マイルストーン・行動目標の連動がはっきりしない、ヘッドライン指標と行動目標との連動が不明などの意見、そして、複雑過ぎて、もっとシンプルで分かりやすく、行動を促すような目標や構造を求める意見が出されました。

 

本会議

コンタクトグループからの報告がなされました。報告は以下の通りです。

CG2 (目標1-8)
26日と27日に会合を実施。1-2のみしか議論できていない。多くの国から意見がだされた。他のCGのように意見を事前に出してもらい、最後のコンタクトグループで、3-8を議論したい。

CG4 (目標14-21とセクションH-K)
目標14から21にを議論 14,15について意見。第2回では、意見を事前に提出することを依頼し、事務局にノンペーパーを作成してもらった。月曜日に、その編集された文書を基に、各目標やH-Kについて、意見の確認や正確性を検討した。H-K性も議論。最後のセッションで、残りの目標17-21を全部議論できるのではないかと思う。コンタクトグループで手法が異なり検証が必要で、コンタクトグループの進め方についても意見交換も大事だろう。

CG5 (DSI)4回実施。350名以上の参加者があった。173の意見が出された。IPLCやNGOも意見が出された。DSIについての意見を求める機会を作る。政策的アプローチについてのより洞察を深める、メリット・デメリット。Friends of Co-leadの設定をめざしたが叶わなかった。マンデートは達成。

CG1 (ゴールや構造、最初のセクション)x回開催し、様々な意見をもらい、ゴールと構造は終了したが、AからE章まで意見出しを行った。構造については、一貫性とコミュニケーションの観点から様々な意見をもらった。A章からE章までを議論した。2カ国発言が残っていたが、メール等で意見を集約して報告書をまとめる予定である。

CG3はまだ開催していないが、終了まで2回実施予定である。

議題4に対して、オブザーバーからの意見表明の時間がしっかりと設けられ、NGO、自治体、企業、ジェンダーグループなどからの意見が共有されました(ユースとIPLCはすでに意見表明済み)。

その後、GBFの採択(予定)も含めた、決定案について、意見を出す機会となりました。EUやアフリカグループは、地域声明として、交渉するには時期尚早との意見も出しましたが、各国からは、実施に当てる時間は限られていることから初見の意見を出し合うべきとの意見があり、他の条約との連携や、自治体の行動計画の重要性、資源動員など他のCOP15決定との連動の強化などいろいろな意見が出ました。意欲的な目標実施には、実施メカニズムが重要で、同時に採択したい(実施メカニズムが合意されない場合は、2020枠組みが合意されない)という、駆け引きの意見も出されていました。

途上国からは、ワクチンや隔離期間など、対面会合のロジに関する質問なども出されました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)