ジュネーブ会合5日目の動き

3月18日10時(日本時間18時)に始まったジュネーブ会合5日目。

この日は、午前に、SBIプレナリーでのジェンダーアクションプランとコミュニケーション戦略、国際条約間連携と相乗効果(シナジー)、午後にOEWGのコンタクトグループ1(CG1)、夕方ににSBSTTAコンタクトグループ「モニタリング」SBIコンタクトグループ「能力養成」を行いました。

SBIプレナリーのジェンダーアクションプラン・コミュニケーション戦略、国際条約間連携と相乗効果は、締約国の多くが重要性を指摘し、事務局作成のドラフトに対して、多方面から意見を出されました。資金(女性参加のための特別基金の設置)や、事業推進のための特別な組織については意見が分かれるものの、CRPの作成や、ジェンダーアクションプランについてはコンタクトグループを設置し集約した意見のチェックを行うことなどが決まりまいた。

コンタクトグループ1は、ゴールBからゴールDまで意見を出し合いました。ゴールというのは、2050年人と自然の共生する社会というビジョンを、より具体化した2050年の状態を指し示すものです。それぞれ多数の意見がだされたのですが、参加国の一つは、「意見出し」はもういいから、出された意見の背景にある意図などについて「対話」をしたいと進行に注文をつけたり、もっと「交渉」のための時間が欲しいなどの意見もでてました。

ゴールBは、①持続可能な利用(条約の目的の一つ)を主軸に据えた表記を強化したいとする意見と保全や再生などの言葉を加えたいとの意見、②生態系サービスと自然の寄与(NcP)のどちらを採用するかという意見、③持続可能な消費と生産とプラネタリーバウンダリーの視点を入れたい、などの意見あたりに少し差が見られました。

ゴールC(利益配分)については、①配分された利益の「量的な増加」と、手続きの完全な実施といったプロセスを強調する意見、②金銭的利益と非金銭的利益という用語をどう扱うかなどの意見あたりに差が見られました。ABSの仕組みは、利益配分がされても、その配分された利益の「額」を公開することは通常なく、ベースラインが分からないというのが量的把握が困難とする意見の大きな根拠になっています。

ゴールD(実施)について、生物多様性のための資金や資金以外の手法の強化についてを描くものですが、資金や資金外の手法の表現の仕方、生物多様性のために経済を変革するという言葉を入れるべきではないかなど、いろいろな意見が出されました。

以前意見を出した、ゴールA~Eについては、Non-Paperが準備され検討される見込みです。

その後、マイルストーンという、2050年ゴールに到達するための2030年の状態を示す部分ですが、Friends of Chair会合で3回議論し、マイルストーンの意義や、今のマイルストーンがその意義を満たしているかを議論したことが報告されました。議論の結果、マイルストーンとして機能しているものもあり、機能していない部分もあることを確認する一方、2030年に進展を図るために必要だとの認識も一致。複雑さや重複を避けるために、マイルストーンの重要な要素をゴールや行動目標に振り分ける作業を引き続きFriends of Chair会合を開催することが提案されました。この意見に対して、SBSTTA会合でポスト2020枠組みの第1次素案の目標に呼応した指標の適否を議論したものが無駄になるとか、公式の会議に加えてFoC会合に参加するのは政府団が制限されていて、体力面でも厳しいとの批判が続きましたが、4年かけて議論していた交渉を前進させるためにも協力しようとのことで、引き続き、少人数での協議が継続されることになりました。

道家哲平

国際自然保護連合日本委員会