COP15-7日目(12月13日) 交渉再開

COP15の第2週目が始まりました。15日から17日にかけて開かれる閣僚級(大臣や政務官など)の開始に伴い、政府団の中にも局長級の合流が見られるよう位なりました。IUCNのブルーノ・オベール事務局長の姿も会議場にお見掛けしました。

ビジネス関係フォーラムの一例。ジェンダバランスも考慮されている

ビジネス関係フォーラムの一例。ジェンダバランスも考慮されている

第1作業部会は開催されず、引き続き、コンタクトグループを中心に議論を継続しています。13日は、ポスト2020枠組みの18,19.1、14,15が午前、午後のセッションで行われました。その他、DSI、資源動員、立案・報告・レビューの議題が夜にかけて行われました。

だ2作業部会は、個別議題や名古屋議定書、カルタヘナ議定書を扱う部会ですが、昨日は、2日間の休み期間の調整の結果が報告され、それを反映した外来種、IPBES、生物多様性と農業、大西洋北東海域の重要海域、保全と持続可能な利用、重要海域(EBSA)の今後の作業、カルタヘナ議定書資金メカニズムなどの会議文書(CRP:Conference Room Paper)が採択されました。また、夜のセッションで、気候変動と合成生物学の議題のコンタクトグループが議論されました。

お昼にお弁当目当てで立ち寄ったサイドイベントが「当たり」のサイドイベントで、森林漁業環境省、南アフリカ生物多様性国立研究所(SANBI)、バードライフなどが共同開発したEADAS+IBATのような仕組みと、生物多様性フットプリントという測定手法を用いて、企業のネイチャーポジティブに挑戦しようという取り組みで、統合的なシステムが構築されていることに驚きました。企業活動によって生じる生物多様性のロスについて、ミティゲーションヒエラルキーの各種段階措置を取った上でも残る影響について、周辺の土地の信託管理(Stewerdship)制度を使ってNGOの活動を支援し、その成果を測定しながら、ポジティブを目指すという王道の仕組みが出来つつあるそうです。海洋については、そこまでのシステムができていないようですが、全く同じ内容を日本で話してもらいたいなと思いました。

昨日は、行動目標15の交渉が非常にエキサイティングでした。焦点の一つが、2030年までに、情報開示に「義務的要求(Mandetory Requirement)」で行われているかどうかという論点であり、範囲を大企業や多国籍企業に絞れば良いのではないかとか、必要な要求、適切な要求などの表現を弱めればよいのではないか、立法措置を伴うものは不可能なのでMandetoryは避けたいなど様々な意見が交わされ交渉が暗礁に乗り上げました。その時に、ある締約国の提案で、Business For Natureという企業グループに発言の機会が回り(コンタクトグループでは、オブザーバーの発言は全く許可されないことがほとんど)、「Mandetoryにして、公平な競争環境を整えることを望む声が330以上も届いていて、今こそ、生物多様性の危機のために意欲度を上げるべき」とのスピーチと、傍聴席全体からの割れんばかりの同意の拍手が会場の雰囲気を変え、義務的要求によるものも含む(including with Mandetory requirement)なら同意できるとの、歩み寄りが引き出されました。

ここまでドラマティックなものは多くはありませんが、少しずつ、歩み寄りの精神から「意見を取り下げる、合意できる表現としてこんなのはどうだろうか?」といった発言が聞こえるようになりました。(が、まだまだ、足りません)

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国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平(日本自然保護協会)