8(J)会合の様子−10月10日午前のレポート

10月10日は、CRP(Conference room paper)という書類をもとに、一段落ごと合意に向けて問題が無いかをチェックしている段階です。8(J)作業部会では、一言で言うと、8(j)に関する作業の進捗確認や今後の作業方針を確認するのがメイン議題です。

*CRPほか、交渉プロセスについては、過去の記事で詳しくまとめました。生物多様性条約COPとは何か(解説)http://bd20.jp/?p=2058

慣習的利用(10条c項)に関してはこれまで取り組んでこなかったほとんど新しい課題なので何をするべきかとが議論されており、行動計画案がまとめられる予定です。伝統的知識の扱いについて他の機関(WIPO私的所有権機関)や名古屋議定書の検討状況との重複を避けるための整理が議論されています。

ほかには、先住民地域共同体(ILC)の用語変更も議題にあがっています。indigenous and local communitiesをindigenous peoples and local communitiesに変更するというものです。条約本文を変えようというレベルの変更ではないですが、この変更がどのような意味を持ちうるか、名古屋議定書や8(J)にどう影響を及ぼすか(締約国の義務が変わるのか)ということに懸念を持っている国があるようです。確かに深く考えると、名古屋議定書は相互合意文書をかわしたりすることを想定しており、用語変更によって、共同体(communities)から個人(peoples)にまで拡張されるような印象があります。法律上の措置をとることを考えるとかなり大変な作業なので、用語変更までに色々明確にする必要があります

ほかにも今後の作業として伝統的知識のREPATRIATION(返還)についても議論されています。

(公財)日本自然保護協会 道家哲平/生物多様性わかものネットワーク村西真梨子