5日目のポイント

第2回ポスト作業部会の5日目は、午前と夕方にCG4-解決策について、午後に、ここまでのとりまとめ文書の内容確認と、今後の交渉の進め方について意見交換が行われました。CG4-解決策は、今後、テーマ別コンサルテーションや条約の実施に関する作業部会の検討があるため、後回しにされていました。夜10時半からは、実施を支える仕組み、条件整備、責任と透明性、アウトリーチについて意見表明が行われました。

FAOの建物内で開かれていたファーマーズマーケット

FAOの建物内で開かれていたファーマーズマーケット

CG4-解決策

行動目標12(奨励措置)

原案は、生物多様性に「最も」悪影響のある「補助金」や「奨励措置」の「改革」や「撤廃」、「公的」「民間」の経済的奨励措置や規制的奨励措置を、生物多様性にとってプラスまたは中立にするという内容が入っています

意見のポイント
・奨励措置の重要性については多くの国が同意しつつ、愛知目標3より後退するべきではないとして、「最も」という限定する言葉の削除を提案
・その他にも、金融セクターの規制も変えるべき、撤廃の前に、負の奨励措置の「特定」を入れる、「生物多様性の保全や持続可能な利用を推進する補助金の強化」
内容をより具体化するため、「生態系支払い」「農業や漁業補助金」と具体化する表現を入れたいなどの意見がでました。

 

行動目標13(各種計画への統合)

原案は、生物多様性の価値を「国」「地域」の「計画、開発手続き、貧困撲滅戦略、会計」に統合し、あらゆるセクターに主流化し、戦略的環境評価や、環境影響評価に適用する、という要素を持ちます。

意見のポイント
・統合先を広げる意見として「教育」「健康」「気候変動対策」「報告制度」「自然資本会計」などがあげられる、一方、たくさん列挙するのではなく、シンプルにすべきという意見もありました。
・その他にも、国だけでなく地方自治体と明記したいという意見も出ました。
NGOからは、戦略的環境評価について、環境に加え「社会」「文化」「人権の視点」での評価が必要という意見や、「あらゆる利害関係者の参画に基づく」評価という視点を入れたいという提案がなされ、途上国からの支持を得ていました。

行動目標14(経済セクターの改革)

原案は、経済セクターによる、持続可能な操業、サプライチェーンの改革、生物多様性への悪影響を半減、といった要素が入っています。

意見のポイント
・企業に自然資本会計を企業に導入してもらうことが大事。サプライチェーンだけでは不十分。環境レポートなどのアイディアが出される共に、持続可能な消費と生産に転換していくための手法の特定を行うこともターゲットにしてはどうか。
・目標の達成状況を把握できることが大事。生態学的フットプリントという指標はどうか。
・消費と生産のパターンの変更が必要、循環経済という言葉や、影響をプラネタリーバウンダリーに抑えるという視点が重要

目標15(資源動員)

原案は、能力開発含む、実施のための資源を動員する、という要素が入っています。

主な意見
・能力開発に加え、「科学技術」・「資金」的資源も動員するべき。動員(Mobilization)だけでなく、提供する(Provision)が重要
・より具体的なものにすべき。モニタリング要素や、マイルストーンを明確にするべきという意見がでました。
・資金源を、多様化し、国だけでなく、国内での資源動員や、民間からの資源動員などが大事。
・1000億円単位で増加など、割合(%)ではなく、具体的な金額を指標にするべき

先進国からは、
・細かい議論を行うには時期尚早と理解。資金だけでなく、「非資金」的資源の向上や、能力養成を通じた「資源ニーズの減少」、「資源利用の効率化」も扱う必要がある。サブターゲットを設定することも検討の価値ある。「国内の資源動員戦略」を国家戦略に組み込むことも重要。
・主流化も資源動員に効果。ESG投資や民間からの投資も考えていくべき。
・どんなテーマに、どれだけの資源が必要か、資源でどれだけの成果を出せたかなどの、関連情報が限定的で、進捗が測れないと成果が得られない
などの、先進国が途上国を支援するという単純化の問題を指摘しました。

行動目標16(生物安全保障)

原案は、カルタヘナ議定書を意識して起草されたもので、「あらゆる国で」「生物多様性に関する生物技術」「負の影響を防ぐ」「手法の確立実施」するという要素を持っています。

意見のポイント
・多くの国がこの目標設定に同意
・用語の整理(カルタヘナ議定書との整合性を取る表現)の意見=取り組みの射程をカルタヘナ議定書に狭める可能性もある
・影響を防ぐをより具体化し、リスクアセスメントやリスク管理、適正な移送、
・バイオテクノロジーのリスクだけでなく、ポジティブな側面について記述する などの意見が出ました。
・生物多様性への影響だけでなく、IPLCや人権、社会経済影響の評価が必要。
・この分野は劇的に変化を遂げているので、「新規の技術も含めた、バイオテクノロジー」とするべき。

行動目標17(持続可能なライフスタイル)と行動目標20(価値の多様化)

行動目標17と行動目標20は同時に検討されました

行動目標17の原案は、あらゆる地域の人々が、持続可能な消費とライフスタイルに向けた測定可能なステップをとる、という要素が入っています

行動目標20の原案は、多様な良い人生のビジョン、責任感の拡大、持続可能性に向けた社会規律が発揮、などが入っています。

意見のポイント
・いくつかの国が、17と20を合わせた目標案を提案しました
・国として何をすればよいかという手段やステップ=行動志向型、のターゲット案が提案されました。
・ユースは、社会変革につながる教育の重要性を指摘し、締約国から支持されました。
・そのほか、CSRの推進、行動変容、指標として生態学的フットプリントを入れるなどのアイディアが出されました。

行動目標18(教育と知識の創出と共有の活用)

原案は、生物多様性の教育と知識創出と共有、伝統的知識に関してはFPICの下に、あらゆる意識決定者が、効果的な管理のための情報の活用する。

意見のポイント
・多くの国が必要という意見
・知識の創出と共有に加え、知識の利用や適用という要素
・「ABS」や「DSI」「技術移転」「知識の保護」、という要素を入れたいなど幅広い意見があった
・教育の要素は、17か20に移動すべきという意見もあった。
・「生物多様性の知識」では、広い為、IPBESが特定した知識ギャップに集中をするのはどうか、などの意見が出されました。

行動目標19(多様な参加)

原案には、「先住民地域共同体」「女性」「ユース」「あらゆる生物多様性に関する意思決定」に「十分で」「効果的な」参画という要素が入っています。

意見のポイント
・多くの国が重要性を指摘。
・「セクター横断型アプローチ」「世代間衡平」の概念をいれたい
・「小規模農家・漁業者」「人権ベースアプローチ」「マルチステークホルダープラットフォーム」の構築

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。