ユースレポート~ターゲット10の議論の様子~
24日午前は、コンタクトグループ3を傍聴しました。
コンタクトグループ3はターゲット9~13を扱います。今回、私が特に関心を持っている、生物多様性を担保したうえでの生産の向上を説くターゲット10、の議論の様子を少しだけお伝えしたいと思います。
途上国-先進国、農業国-非農業国、でかなりこのターゲット10に求めるものが変わってきます。そのため冒頭、Co-Lead(共同進行役)により、国レベルでの協力が求められました。
各国が自国の第一次産業政策に有利になるようなターゲットを求めて、主張を繰り広げます。ブラケット(文章のうち、まだ確定していない部分に付ける[])を取り外したり取り付けたり、新たなワードを足したり、他の国の立場を支持したり…。各国の優先事項が絡み合いまた離れ合い、議論はかなり混沌としていました。
争点としては
対象を「すべての」地域にするか否か
管理者、たとえば小規模農家、土着の食物体系、女性など、をどこまで細かく明記するか。
バイオテクノロジーやシードバンクについて言及するか
agrobiodiversity、というキーワードで、生物多様性の定義を狭めるか
などがありました。
1フレーズ入るか否か、で文脈がかなり変わってくるのも面白かったです。例えばある国が、areas under とproductive systems の間に and suitable forを入れよう、と提案していました。もしこのフレーズがなかった場合は、農林水産業を行う土地すべてが対象となりますが、あった場合、適した土地だけを対象とすればよく、また適しているかの基準は不明瞭であるため、扱う土地面積がかなり変わってきます。たかが1フレーズされど1フレーズ。各国が一言一句にこだわる様子を目の当たりにすることができて、このターゲットに対する個人的な理解と興味がより深まりました。
COP15まであと半年。それまでになるべく多くのブラケットを取って宿題を減らさなけらばならない。そのためには、各国の更なる歩み寄りが必要です。持続的な生産が為されるか否かは、私たちの生活に直結します。生物多様性保全を担保した農林水産業が世界各地で保障されることを願います。
吉川愛梨沙
(生物多様性わかものネットワーク)