2nd-OEWGの個人的成果と展望 part1
今回の2nd-OEWGを通しての学びや感想をここに書き起こそうと思います。私にとっても、この国際会議で得られたことをアウトプットし、より印象的なものにできる良い機会だと思っております。
「国際会議」と聞いたとき最初に思い浮かぶのは、「学生はもちろん一般人は参加できない、限られた偉い人しか参加できないもの」というイメージでした。しかし、私が所属する「生物多様性わかものネットワーク」の先輩の紹介のもと、今回のOEWGに参加する運びとなりました。
国際会議尽くし。ローマ7日間を通しての学び
国際会議は思った以上に過酷でした。受験期から大幅に落ちた英語力では彼らの話すほとんどの英語を聞き取ることができなかったからです。そこで私はGYBNや国際会議の経験が豊富な道家さんや先輩方に質問してその点を補いました。ボランタリーコミットメントという新制度の魅力とそれ以上に大きな問題点にも条約締結の難しさを痛感しました。また、ブラジルなどが「あらゆる遺伝子資源」の公平な利益配分を掲げていて、先進国としての「保証」も今後のキーワードになると実感しました。
会議外でも会場でワークショップをしている方々に積極的に話しかけ日本では聞けない生の声や彼らが携わっているプロジェクトの情報を得ました。特に印象的だったのは魚の皮を使ったアクセサリーやバック、そして海藻の繊維です。漁業分野に新たな需要を生む姿勢が資源の有効活用やひいては外来魚の撲滅にも一役買いそうな活動でした。
とは言っても、既にレセプションの段階では日常の会話や冗談を言い合えるくらいには英語に慣れてきていました(レセプションについては『レセプションでの活動報告と成果』をご覧ください)。
世界の交渉官はもちろんのこと、世界の様々な国から生物多様性や環境問題に強い関心を持つ若者が集う場としても、国際会議は機能していました。そこで彼らの様々な意見を聞くことができました。印象としてあるのは、GYBNの皆さんは人権や「ユースならでは」を重視しつつ生物多様性を保護するという姿勢が強い、という点です。特に、Transformative Education(社会変革を導く教育)という国や年齢(教育レベル)ごとに異なるテーマや手法によって環境教育を施すという考え方をユースは強調していて、その点でも条約の締結やユースとしての発言の意味を再認識させられました。
前述した学びは私が国際会議で得たものの、ほんの一部です。あまりに多くの国の方々と本当にたくさんの知識や知見、価値観を共有することができましたし、ネパールやマダガスカルとの共同プロジェクトも発足し、今回の会議を次に繋げられたことにも達成感を感じています。
一方で、「アンダーユース(過少利用)」が世界に浸透していない事実を、会議全体を通して終始危機感を覚えました。人口減少が著しい「課題先進国」の日本として2050年までに他の国でも同様の問題が発生しうることに警鐘を鳴らし、それに対する事前対策の重要性を打ち出していくべきだと思いました。
初の国際会議の感想とこれからについて
この会議ではユースと関わることが非常に多かったため、どうしてもその印象が強いです。しかしながら、国やIGO、NGOOの意見は非常に興味深く、どの国が何を重視してどのように生物多様性に関わっていきたいのかなどを知ることができました。中でも、日本がセクターを超えた解決手法を望んでおり、まずは国内でそれが実現できればより多様な環境問題の解決につながると、希望を感じました。
学ぶことが書ききれないほどに多かった国際会議でしたが、帰国後は私が運営するボランティア団体やサークルで国際会議の様子やそこで得た学びを団体内で共有し、普及啓発イベントの開催を考えております。国際会議では、自身の中だけで留めておくには勿体ないくらいに貴重な学びが山ほどあったからです。
自身を磨くことも忘れません。サボりがちだった英語の勉強を再開しようと思います。世界の幅広い知見を知る上で、現在の私の英語力では不十分でした。特にCBDアライアンスに提出した質問は、「フォーマルな英語ではない」「単語のニュアンスが違う」と酷評されてしまいました。よりたくさんの方と今後も人類と自然環境との共存に向けて活動できるように、それに見合った英語力を身に付けたいと思います。
そして、度々ご迷惑をおかけした私に対しても優しく、質問にも丁寧にお答えくださった道家さんを始めとした皆様にこの場をお借りして謝辞を述べたいと思います。また、今回の貴重な機会を設けてくださった関係者の皆様にも重ねて、お礼を申し上げます。
今回の会議はまたとない、貴重な経験となりました。本当にありがとうございました。
青田 雄太郎(生物多様性わかものネットワーク/東京大学)